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第1章 出会って話して


ゴーストワールド


プロローグ

「・・・また、争いか・・・・・・」

とある空間。そこはとても暗く狭い場所。人一人が入るのが精一杯で手を伸ばせば天井に届きそうだ。

そんな場所で椅子に腰掛け座っている男が居る。

「・・・やはり、世界を改変しないといけないのかもしれないな」

男は頬杖をつき、あるものを見ている。それは明るく輝いており何かが移っている。

それはバスケットボールぐらいの大きな水晶だった。それを男はじっと見つめている。

「・・・・・・それにしても、Gに行くのは久しぶりだな」

男はスッと立ち上がり、ポケットに手を突っ込んで言う。



「この世界とも、お別れだ・・・・・・・」



そう言って、男はフッと消えた・・・。暗い空間の水晶はまだ輝いている・・・・・・。



第1章 出会って話して



「・・・・・・ん、」

ここは・・・・・・どこだろう・・・・・・。

肌寒い空気が当たり俺は目を覚ました。

俺はどこともわからない場所で仰向けの状態で寝ていた。辺りを見回すとどこかの広場のようだ。遊具のない広場。あるのはベンチと4本の電灯。電灯はそれぞれ角に立っていてベンチは木で、少しいたんでいるように見えた。古い公園だろうか?

俺は広場の真ん中に寝ていた。時刻はわからない。だが真っ暗だから深夜なのはわかる。月は雲に隠れているから一層暗く感じる。

俺はとりあえず体を起こすとする。しかし、それは容易にはできなかった。

「っって!!」

頭がズキンとする。頭がすごく痛かった。手を当ててみると赤い血液が手にべったり付いていた。

なんだこれ・・・?どうなってんだ・・・・・・?

どうやらなにかで殴られたようだ。おかげでふらふらする。

なにがあったんだろう?何も思い出せない。確か外に出て・・・それから・・・・・・。



・・・だめだ、思い出せない。思い出そうとしたら余計頭が痛くなる。



俺はとりあえず、ふらふらの足取りでベンチへと向かった。休憩が必要だと思ったからだ。

5メートルほどの距離をふらつきながらやっとの思いでたどり着き、ベンチに腰を掛けて休む。ふと、地面を見てみると影が大きく出ていた。空を見ると雲が晴れたようだ。

今日は満月か・・・・・・。

そんなことを思いながら俺は体をダラリとさせ、休むとする。そして一眠りしようかと思ったそのとき、



突然、さっきまでいなかったはずの俺の隣に、女の子が現れた。

しかも寝てる・・・・・・。



「うわ!な、なんだ!?」

「・・・・・・・・・・・・ぅん~?あ、あれ、いつの間にか寝ちゃった。・・・・・・ん?」

「・・・」

「・・・」

見詰め合う。その少女はショートヘアが似合う女の子。きれいなピンク色の髪。髪の結び方がまた特徴的。身長は160ぐらいかな?俺と同じくらい。服装は真っ白いワンピース。寒くないのだろうか?

その少女は俺の顔をじっと見つめながら、しかしどこか怯えながら喋った。

「ねぇ、もしかしてあなた・・・・・・あたしが見えてる?」

「え?・・・あ、あぁ・・・まあ一応・・・・・・」

「・・・」

「・・・」

再び沈黙。ていうかこの子は何を言っているのだろう?見えてるかって?見えるに決まってるじゃないか。こんなに近くにいるのに。

俺が心の声で喋っていると、突然その少女は叫びだした。

「きゃあああああ!見られてる!見られてるわ私!」

「え、おい・・・。何騒いで」

と言いかけたところで俺は落ち着かせようと彼女の腕を掴もうとした。すると



俺の腕が彼女に触れることなく彼女の腕をすり抜けた。



「えっ?・・・え?」

俺は驚愕と意味不明な現象に頭がおかしくなりそうだった。彼女はというと少し落ち着いたのか、俺の方を見ている。

「ご、ごめん。取り乱しちゃった」

少女は謝る。俺はというと少しパニックに陥りながらもベンチに座りなおす。

むしろ俺のほうが今は取り乱しているんだが。

「お、おう・・・。でもなんで・・・。俺は確かにお前の腕を・・・」

「あぁ、だったら触れないよ」

「え?・・・・・・どうして?」

触れない?どういうことだ?俺は夢でも見ていてこの現象は全て俺の妄想とか?

俺はパニクリながらも考えたがそんな現実的な答えは返ってこなかった。



「だって私幽霊だもん。人間は触れないよ♪」



「・・・えっ?」

第二回目の驚愕。幽霊だって?幽霊ってあの幽霊か?お化けみたいなもんか?

「・・・・・・どういうこと?」

「え?えぇっと、どこから話せばいいやら・・・。難しいからあなたから質問して」

「な、なんだよそれ・・・・・・んじゃあ、幽霊ということから。幽霊ってその、あれだよな?あの死んだやつが成仏できずにこの世を彷徨うっていう・・・」

「そ♪なんだ、わかってるじゃない。」

「・・・・・・正直、信じられねぇ」

俺は自分の頬をつねってみる。当然ながら痛かった。ていうか頭痛があるんだから夢ではないのは確かか。

「えぇ?も~!これだから人間は!とう!」

といって彼女は俺の腹めがけて飛び込んできた。俺は「ぐふ!」と言わなければいけないかと思ったら



彼女は俺をすり抜けていった。



「・・・・・・」

俺はもう何も言えなかった。そんな・・・・・・ばかな。やはり夢なのだろうか?それとも本当に幽霊・・・いやそんなはずはない。そんなのは漫画やアニメの仲で十分だ。

「どう?これで信じた?」

少女は自分の存在を俺が信じたか確かめにきた。信じられない。信じられるわけがない。だって幽霊だぞ?そんな非現実的な存在、いるわけないのに・・・。

しかし、戸惑ってばかりじゃ何も進まない。今は置いておこう。

「な、なるほど。お前が幽霊なのはわかった」

信じてないけど。

「で、なんで急に見えるようになったんだ?俺はさっき見えなかったぞ」

「あ、それは月が隠れたからだよ」

「? 何の関係が?」

「えぇっとね、私みたいな幽霊は光に弱いの。光を浴びてしまうとカルラが弱くなってしまって人間に見えるようにも話せるようにもなるの」

少女は少女の言葉を半分流しながら聞いていた。そしてその中に聞き覚えのない単語が出た。

「その・・・カルラっていうのは?」

「んーとね、私たち幽霊が力を保つために必要な霊力のこと。この力は色々あるけど私は人間に見えなくなるのを使っていただけ」

彼女はカルラというものについて説明した。よくわからないが・・・霊力とかそんなもんか?つまりさっきは月の光が当たっていなかったけど今は当たっているからカルラってやつが弱くなって見えるようになった、ということだろうか?

・・・もうわけわかんね。

「あなたも見たことあるでしょう?心霊写真。あれはカメラのフラッシュのせいでカルラが弱くなってそこにいた運の悪い幽霊が写っているんだよ」

「・・・あぁ、なるほど、そうだったのか・・・。」

心霊写真は本当にあったのか。そこにびっくりだ。

「・・・んじゃ次。どうしてお前は死んだんだ?」

「それは・・・・・・わからない。わからないの」

「どうして?」

どういうことだ?記憶喪失だろうか?

「覚えていないの・・・。どうして死んだのか。よくあるのよ、死んだら記憶がなくなるっていうのは・・・」

記憶がないのか。じゃあ質問しようがないな。他にし・・・。


フラッ。ドサッ!


「うわ!ど、どうしたの!?ねえ!」

俺はベンチから倒れまた仰向けに寝転がってしまった。・・・うわ、やばいな。本格的に血が足りなくなってきたな。考えすぎた。

「え、血がいっぱい出てるじゃない!ちょ、ちょっと手を上げて!」

俺はとりあえず手を上げた。もう指先の感覚がなくなってきた。寒くなってきて、眠くなってきた。俺は手を上げる力が残っていなかった。

「――――――!」

彼女が何かを言った。だが、もう俺には聞こえなかった。

そして俺はまぶたを閉じ深い眠りに・・・

「眠っちゃだめー!」

何かが俺の頬をビンタした。親にも叩かれたことないのに。まあ、おかげで目が覚めたが痛かった。

・・・・・・痛い?

どうして痛みを感じる?俺はもうお迎えが来たはずなのに。

「もう!危うく死んじゃうところだったよ!」

どうやらビンタしたのは彼女のようだ。

「俺は・・・。」

「もう大丈夫だよ。エトロニックスしたから」

「・・・なにそれ?」

「あなたの身体と私の身体を分け合ったの。だからあなたは今半分幽霊。半分人間ってこと♪私も同じ」

「へぇ、そうなんだ・・・」



・・・・・・って。



「ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「うわ、急に叫ばないでよ!びっくるするじゃない!」

「だって、いや・・・。その・・・・・・幽霊って」

「大丈夫だよ。死んだわけじゃないから♪」

そんなに明るく言われても・・・。

そういえばなんか身体がやけに軽い。というかほとんど重さを感じない。頭の痛みもさっきほど痛くはない。ズキズキと頭痛ぐらいの痛みだ。血も出ていない。

「どうなっちまったんだ?俺の身体は・・・」

「ん~。こんな感じなんだ。エトロ型って」

「・・・あのー、普通の人間とどう違うんだ?」

「え?あ、ごめん。独り言かと思った」

独り言をぶつぶつ言う男じゃありません!

「あはは♪えっとねぇ・・・。まずエトロニックスしたことでの利点からいうとカルラとプリズンが使えるようになるよ♪」

「その・・・・・・プリズンとは?」

また聞いたことのない単語が出てきた。

「プリズンっていうのはカルラと似てるけど少し違うもの。プリズンは常には放っていない。それだけ」

いや、そんなこと言われても・・・。

「んも~!こういう力のこと!」

と彼女が言うと彼女の周りがざわつき始めた。なんというか、風が・・・変わった。さっきまで穏やかだったのが急に荒々しくなり、まるで小さな台風が発生したような感じだった。。

「わかった?こんな風にカルラ同様、色々あるけど私はまだこれだけ。『エターナル』。自然操作。ちなみにエターナルにも種類があるよ。」

まあ・・・なんとなくわかった。かな?ちょっとこいつの説明は足りない部分が多いから理解しようにもついていけない。とりあえずカルラは常に、プリズンは使いたい時にだな。

「あ、あと年をとらなくなる」

へぇ~。あとは?

「あとはね、ないかな?」

「ないの!?」

「う、うん。あ、あと欠点はね。」

少ないな、利点。しかも欠点聞きたいやつなんていないと思うけど聞いておかないと後悔するような気がするから聞いておこう。

「もう人間にはもどれないよ♪」

「さらっというなぁ!えっ!?ほんとに!?ほんとに戻れないの!?」

「うん、もどれないよ♪死ぬまでね。」

なんてことだ。俺はもう人間には戻れないのか・・・。なんか、悲しくなってくる。

「まあ、大丈夫。人間のときとほとんど変わらないよ。ただ・・・。」

「ただ?」

いやな予感がする。



「カルラとプリズン。両方完全になくなると死んじゃうから気をつけてね♪」



だ・か・ら!!

「そういうことをさらっというなー!!」

というわけで俺は今日から半分幽霊、半分人間のエトロ型とかいうやつになりました。ところで

「お前、名前は?」

「私?私はネーシャ♪あなたは?」

「俺はテル。よろしくな」

「よろしくね、テル♪」

「あぁ、よろしく。ところでネーシャ、俺そろそろ帰るけどお前も帰るのか?」

「え?あぁ、私はここにいるから帰るも何もないんだよ」

そうなのか、まあ確かに幽霊だったことを考えると日中は移動できそうにないな。今なら帰れそうな気もするけど・・・・・・。遠いのかな?

「ネーシャ、お前行くとこあるのか?ないんだったら俺の家来るか?」

女の子を簡単に呼んでしまったがさすがに来ないよな。ていうか俺は会って間もない奴を家に呼ぼうとしているな。来るわけな・・・

「ほんとに!?わーい、うれしい!行く行くー!」

来た。しかも、困る様子を微塵も感じさせないまま。

というわけで俺は家に帰るとする。家はそんなに遠くないので早く帰ってシャワーでも浴びたいものだ。あ、頭大丈夫かな?しみるかな?

俺が後頭部の傷を心配していると後ろのほうからドサッ!と聞こえた。

振り返るとそこにはネーシャが倒れていた。

「え!?お、おい!ネーシャ、どうした!?」

俺は急いで駆け寄り、ネーシャの方を持つ。ネーシャは後頭部を押さえながら笑って答えた。

「あはは・・・。エトロニックスは身体を分け合うからね。あなたの頭の痛みがこっちにきたってことだよ。大丈夫だよ。立てるから」

一生懸命立とうとするネーシャ。しかし、少女の体で俺の傷を庇うには荷が重すぎたようですぐにふらふらと俺の方に倒れる。

「そんな、俺のせいってことかよ・・・。」

倒れてくるネーシャを受け止め俺は自分を責めた。そうだよ、体を分け合ったんだからこうなることは簡単に予想できたじゃないか・・・。どうして気付かなかったんだ!

「テルのせいじゃ・・・ないよ。あたしが勝手にエトロニックス・・・したんだから。よいしょ・・・」

そういってネーシャまたは立ち上がろうとする。俺はほぼ反射的にネーシャの前にしゃがみこみに行った。

「きゃっ!ど、どうしたの?」

「・・・おぶってやるから。ほら、こい」

「え?い、いいよ別に。歩けるから」

「・・・ったく」

俺は無理矢理ネーシャを俺の背中に乗せた。ネーシャは「っきゃ!」と声をあげていた。そのまま俺はネーシャを背負って家に向かう。

「あ、ありがとう。テル」

「まったく、困ったら俺に言いな。できることなら俺がやるから」

「・・・うん」

ネルは俯いてしまった。多分、疲れたから眠ったのだろう。カルラとプリズン使いすぎたのかな?まあ、いいや。じっとしてくれてたほうが運びやすいし。

俺はネーシャを担いだまま、家まで歩いて帰った。



~テルの家~



家に着いた。俺の家は少し古い一軒家だ。探してみればサビついている所もあるし、庭もそんなに広くはない。

玄関に入ると少しせまい空間が俺たちを迎える。自分の部屋に連れて行ってもしょうがないのでとりあえずリビングに連れて行く。そしてネーシャをソファーに横に寝かせ毛布をかけてやる。そして俺は一つ空間を置いて隣に座る。一息つくとしよう。

ちなみに両親はいない。俺の母は俺が小さい時、病気で死んでしまった。親父は生きているが母は顔も写真でしか見たことがない。つまり俺の父は俺を一人で育ててくれたちうわけだ。俺にとっては最高の親父だ。ただ、今は単身赴任中でいない。だから俺は一人暮らし。この家には俺以外だれもいない。

いるのは俺とネーシャだけ。

「・・・・・・」

ネーシャがまだ起きる気配はない。まあ、時間的には深夜だからな。このまま朝まで寝るだろう。俺は今一度彼女を見てみる。

小さく開いた唇。すーすーと動物のような寝息。顔の前でグーにしているやわらかそうな手。

例えるなら・・・そう、妖精。俺と同い年だと思うけどその容姿は妖精そのもの。正直、とてもかわいい。思わず抱きしめてあげたくなるような。・・・いや、それはまずいか。

「ん~・・・・・・ふぁ~」

「あ、起きた」

んー、と腕を上に上げて伸びをするネーシャ。しまった、起こしちゃったよ。

「あ、ここテルの家?」

「そう、俺の家だ。少しせまいがガマンな」

「ううん、そんなことないよ。へぇ・・・・・・。一人ぐらし?」

そこら辺はさっきモノローグで語ったんだがな。

「あぁ、そうだな」

「ふーん、そうなんだ・・・。」

さきほどの痛みはないように見える。眠ったことで痛みが引いたのだろうか?とにかく元気になってくれたから良かった。

そんなネーシャはキョロキョロとリビングを見て俺に話しかけてきた。

「あ!そうそう、カルラとプリズンの使い方を明日から教えるよ。一応半分幽霊だからね」

・・・突然だな。使い方なんてものがあったのか。

「使い方?そういえばどうすればいいんだ?」

「上手く使うとこんなことができるよ」

と言ってネーシャは毛布をどけて立った。そして力を込めたようにして「えい!」と言った。するとどうだろう。



ネーシャが宙に浮いているではないか。



・・・正直、びっくりだった。

「今のはプリズンを使ったからね。プリズンを使うと何かしら『動作』を起こすことができる。そしてそれを維持したかったらカルラを使うことになるよ」

「・・・えっとつまり、プリズンは発動用でカルラは維持用ってわけか」

「そ♪」といって笑顔を見せる。簡単に言うけど普通の人間が見たら大騒ぎだからね。

試しに俺もやってみることにする。

「あ、多分できないよ。少し練習が必要だから。」

と言っていたが俺は気にせず力を込めてみた。すると



浮いた!!でも



すぐ落ちた。いや、でも・・・。

すごくない!?ほんの少しだけど浮いたよ!?

浮くと足がついてないからなんかバランスが取りにくかった。

「・・・」

ネーシャは俺のほうを見ている。ポカンと口を開けてびっくりしているようだ。

「・・・テル、何者?」

「いや、普通の人間だけど・・・。間違えた、エトロ型の人間だけど」

「普通は1ヶ月ぐらいの練習が必要なのに・・・。すごい・・・」

どうやらこれは本当にすごいらしい。自分でもびっくりだよ。

「でも、カルラは使えていないようだね。じゃあ、明日からカルラの特訓をやろうか♪」

というわけでカルラとやらの特訓をするらしい。特訓かぁ、厳しいのかな?

「ていうか飯食うか?俺はあんまり腹減ってないけど」

「あんまりじゃないよ。全然減っていないはず」

「? ・・・どうしてわかったんだ?」

「幽霊がお腹減ると思うの?」

・・・・・・そういえばそっか。

「じゃあ、風呂に入るか?」

「え!?い、一緒に?」

「いやいや、そんなわけないだろう」

「だよね、うん。そうだよね・・・」

なんかシュンとしてる。なんだ、一緒に入りたいのか?

「一緒に入るか?」

俺はなんて質問をしているのだろう。パンチが飛ぶかも。

「え!?い、い、いや入らないよ!入るわけないでしょ!」

そういってダッシュで洗面所へ向かう。俺がまだ教えていないのにどうしてうちの風呂の位置知ってるんだ?

・・・・・・まあ、いいや。

「あ、着替えとタオル・・・」

俺はその二つを用意していないことに気付いた。しまった、なんつーミスだ。

俺はタンスに入っている少し大きめのティーシャツとタオルを用意して洗面所の前に行く。行くとシャワーの音がした。どうやらもう入っているようだ。

洗面所のドアを俺はノックしてみる。一応、鍵はついているドアです。

『な、なーに?』

ドア越しの返事が返ってきた。

「着替えとかはここに置いておくから後で取っておけよ」

『え?でも、床が濡れちゃうからここに置くよ。持ってきて』

といったので俺はドアを開ける。そう、なんの躊躇もなく。鍵は掛けられていなかった。なので速攻で開けた。

ネーシャが風呂から出てきているところだった。

「うお!な、なにやってんだネーシャ!もう出るのか!?」

「ちょっ!ま、待ってよ!後でに決まってるでしょ!」

タオル一枚という生まれたままの姿プラス布着れ一枚という姿のネーシャが叫んでいる。だって持ってきてって言ったじゃん・・・。

「とにかく出て行って!」

とネーシャは俺に向かってパンチしようとした。でも俺の2メートルぐらい先にいて届かないはず。それなのに・・・



拳が当りました。



・・・多分またプリズンとやらを使って衝撃波みたいなのを飛ばしたのだろう。でも、感触は拳そのままでした。そして殴られた勢いで着替えを落とし、外に飛ばされました。

「もう!」

バン!と勢いよくドアは閉められた。俺、なんか悪いことした?


~10分後~


ネーシャが風呂に入っている間、俺はリビングでごろんとしていた。深夜なのでテレビもいいのがないのでやることがない。とりあえずごろごろしていた。

はぁー、それにしてもハードな一日だったなぁ。いきなり幽霊が見えるようになるわ、自分が幽霊になるわで。いや、エトロ型だから半分幽霊か・・・。

俺がそんなことを考えているとネーシャが出てきた。

「もうテルったら、えっちなんだから・・・」

「いや、俺悪くないと思うけど・・・」

なんか微妙な空気が流れる。だが、その空気はすぐ治まった。

「まったく・・・。」

とネーシャが笑顔を見せてくれたから。「しょうがないなぁ、この子は」と子犬を見るような笑顔だ。なんか俺下に見られてるような・・・。

とにかく、今日はすごく眠たいので寝るとする。

「もう遅いから寝るか」

「そうね、じゃあ・・・。」

とネーシャは俺の寝転がっているソファーとは反対方向のソファーに座る。言い忘れたがソファーは二つあるのだ。いいだろう?

「んじゃ、おやすみ」

「ん、おやすみ」

俺たちはあいさつを交わし、電気を消した。

久しぶりに楽しい?一日になった。そして、人間じゃなくなった一日になった。

だが、このとき二人はまだ知らなかった。

オブジェという組織の計画を・・・・・・。

ご感想をいただければ幸いです。

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