【番外編】金髪の神を探して、ボンボンは今日も店に来る
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
子高は何度かコンカフェに通ったが、ノアが店にいることはなかった。
仕事の都合で不在時ばかりを狙ったかのようなタイミングだった。
「……運命の悪戯か」
子高は店のカウンターで、誰に言うでもなく呟いた。
その横で、ヒロは怪訝そうな顔をしていた。
「……不審者が常連面してるの、本当に不思議なんだが」
子高は気にしない。
店内の壁に貼られた求人広告を見つけ、ゆっくりと近づいた。
顎に手を当て、しばらく考える。
何か言おうと口を開いた瞬間。
「不採用だ」
ヒロに先手を打たれた。
「まだ何も言っていないぞ」
「お前の顔はもう採用不可だ」
冷たい即答だった。
そのやり取りを見ていたニコが、少し困ったように微笑む。
「えっと……メニュー、見ます?」
気を遣った結果だった。
ニコは今月のおすすめメニューのページをゆっくりと開く。
子高は翠色の瞳に視線を奪われた。
柔らかく光を反射するその色が、妙に綺麗だった。
胸の奥が、少しだけざわつく。
「……ニコ」
「は、はい?」
子高は真顔で言った。
「お前、俺のものになれ」
店内の空気が止まった。
ニコの顔が真っ赤になる。
ヒロの顔が真っ青になる。
「……は?」
「今すぐだ」
子高は真剣だった。
そのとき――。
カラン、とドアベルが鳴った。
カツン、カツン、と硬い靴音が近づいてくる。
ヒロの顔色がさらに青くなる。
「……終わった」
小さく呟いたその声は、誰にも届かなかった。




