ニコのおもちゃ化は止まらない
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
あれから、ニコは堂々とメイクをして顔を出し、お店に立つようになった。
以前はフードで顔を隠していたが、今では鏡の前で軽く表情を整え、自然に笑えるようになっている。
側にはノアが控え、無言のままサポートしていた。
「ニコちゃん、可愛い! チェキ撮ろうよ!」
「ドリンクお願い!」
店内はいつもより賑やかだった。
ニコが表に出るようになってから客足も少し増え、明るい空気が流れている。
ノアと並ぶと、青い瞳と緑の瞳が静かに向かい合う。
店の常連客たちは「双子みたいだな」と笑い、店内は妙な盛り上がり方をしていた。
本人たちはあまり自覚がないが、二人が並ぶと不思議と絵になるらしい。
接客の途中、ニコが少しだけ足をもつれさせた。
「あっ……」
小さな声が漏れる。
その瞬間、ノアが自然な動きで手を添えた。
「おっと、ニコ大丈夫?」
「ノア君、ありがとう……」
ニコは少し恥ずかしそうに笑った。
ノアはしばらくその顔をじっと見つめたあと、何も言わず頷き、そっと頭を撫でた。
優しいというよりは、確認するような手つきだった。
騒がしさとは少し違う、静かな温度の空気が二人の間に流れる。
周囲の客はその様子を見て、ニヤニヤしながらドリンクを注文していた。
片付けの合間。
ニコがユイの方へ近づき、小さく言った。
「ユイちゃんのおかげだよ。ありがとう」
ユイはぱっと顔を輝かせる。
「えへへ! 面白かったから、またやりたい!」
ヒロは横で小さくため息をついた。
「……おもちゃ化が着実に進んでるな……」
佐伯は笑いをこらえながら言う。
「でもまあ、悪くない流れじゃないか?」
ヒロは何も言わず、コーヒーを一口飲んだ。
店内には客の声と、グラスの触れ合う小さな音が混ざり合い、どこか穏やかな時間が流れていた。




