表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/104

借金奴隷、全てを失う。

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

朝。


ノアはフラフラとキッチンを横切り、

そのまま壁に手をついた。


ゴン。


「……おい、大丈夫か?」


ヒロが思わず声をかける。


顔色が悪い。

目が虚無。

というか、魂のログイン状態が怪しい。


「体調悪いのか?」


近づいた瞬間――


「……酒くさっ!!」


ヒロは反射的に一歩引いた。


「お前、朝だぞ!?」


ノアは目を逸らし、ぼそっと言う。


「現金は没収されるから」

「ストリートピアノで、酒もらってた」


「換金できない方向に進化するな!!」


どうやら。


通行人からの差し入れが、

いつの間にか“瓶”中心になっていたらしい。


「借金返す気あるのか!!」


「あるよ」

「でも現金化されないからノーカウント」


「カウントしろ!!」


そこへ、ちょうど真田が迎えに来た。


玄関を開けた瞬間、

状況を一瞬で把握する。


「……ヒロさん」

「一つ、提案があります」


声が低い。

目が仕事モードだ。


「酒も……やめさせましょう」


その言葉に、

ノアの顔色が一気に変わる。


HP1の顔。


「ま、待って……」

「それだけは……」


ノアは情けない声でヒロの服に縋りつく。


「タバコもない」

「酒もないと……」


「何も残らない……」


「残るだろ!!」

「借金が!!」


ヒロのクリティカルヒット。


ノアは床に崩れ落ちた。


「……頑張るから」

「働くから」

「だから、それだけは……」


完全にダメ人間のセリフである。


ヒロと真田は顔を見合わせた。


(こいつ……)

(娯楽で精神バランス保ってたタイプだな……)


真田が静かに告げる。


「契約更新時に、生活管理条項を追加します」

「健康管理も事務所管轄で」


「保護観察か!?」


「芸能人です」


ノアは絶望した顔で天井を見上げた。


《禁煙》継続中。

《禁酒》付与予定。


残るのは――

仕事と、借金と、ヒロの胃痛。


「……芸術は自由だったのに」


「自由の代償が契約書だ」


ヒロの冷静な一言が、部屋に響く。


こうして。


ノアの世界から、

タバコが消え、

酒も消えようとしていた。


このアパートは、

今日も静かに修羅場である。


なお一番ダメージを受けているのは、

間違いなくヒロの胃である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ