ヤニカスは、朝は食べない派
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
朝のニュース番組出演が決まり、
ノアは――早朝四時に叩き起こされた。
「起きたくない……」
布団を両腕でホールド。
完全防御形態。
だがその横で、寝相最悪のニコが寝返り。
ドゴッ。
「っ……!」
見事に顔面キック。
ノアは床へ転落し、目にうっすら涙。
そのままヒロに襟首を掴まれる。
「時間だ」
「ヒロ……」
ノアは捨てられた子犬のような目で見上げる。
一瞬、ヒロの良心が揺らぐ。
(ちょっとかわいそうか……?)
「……ダメか」
ノア、小さく舌打ち。
ヒロの中の何かが爆発。
「その態度やめろ!!」
こうしてノアは、
ほぼ拉致の形で真田へ引き渡された。
「おはようございます」
真田、すでにフル装備。
プロの目。
「朝は思考効率が三割落ちる」
「今日は笑顔効率を上げてください」
即封。
――スタジオ到着。
出演コーナーはバラエティ枠。
テーマは《おすすめ朝食》。
色とりどりの和定食、パンケーキ、スムージー。
ノアは半分寝た目で座っている。
司会者が明るく振る。
「ノアさん、朝は強いタイプですか?」
「物理的に弱いです」
早くも怪しい。
一通り試食。
もぐもぐ。
「塩分が優しい」
「食物繊維が合理的」
「糖質が攻めてる」
コメントは相変わらず理屈寄り。
だがまだセーフ。
そして運命の質問。
「ではノアさん!」
「どの朝食を食べたいですか?」
ノア、三秒考える。
真顔。
「朝は、食べない派です」
――凍結。
スタジオ気温、体感マイナス五度。
司会者、笑顔固定。
「え、えーっと?」
「朝はタバコとコーヒーで十分です」
追撃。
真田、舞台袖で目を閉じる。
同時刻、ヒロはテレビの前で頭を抱えていた。
(言うなって!!!!)
SNS、即爆発。
『朝の番組でそれ言う!?』
『清々しすぎる』
『ヤニカス安定』
『でも顔が眠そうで可愛いのずるい』
炎上しているのに、
なぜか好感度も上がる不具合。
番組最後。
司会者が無理やりまとめる。
「規則正しい生活、大事ですね!」
ノア、小声。
「理論上は」
マイク拾う。
スタジオ、再び微妙空気。
だが放送終了後。
スタッフの一人が言った。
「……なんか、目が離せないんだよな」
真田はスマホの通知を見て、静かに呟く。
「トレンド入り……」
ワード:
《朝食拒否系タレント》
ヒロはテレビを消し、天井を見上げた。
(ああ……)
(今日も通常営業だ)
こうしてノアは、
早朝から火種を投下しつつ、
なぜか爪痕だけは確実に残し、
炎上と話題性を両立するという
意味不明スキルを発動し続けるのだった。




