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非常食の人と、非効率なかたまり

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

その夜。


炎上も称号も一段落したあと。

ノアは配信もせず、ソファに沈んでいた。


テーブルの上に置かれたのは、

炊きたてのご飯と――

ラップに包まれた、二つのおにぎり。


ヒロが黙って置いたものだ。


「今日は非常食、ないの?」

ニコが恐る恐る聞く。


「今日は」

ノアは短く言った。

「いらない」


ラップを外し、

何の感想もなく、口に運ぶ。


もぐ。


静かに、食べる。


ニコはその様子をじっと見ていた。


「……それは」

「効率、いいの?」


ノアは一瞬だけ考えてから、


「悪い」

はっきり言った。


「じゃあ、なんで……?」


「例外だから」


それ以上は語らない。


ヒロは少し呆れたように笑った。


「お前さ」

「世界には非常食勧めるくせに」

「俺の飯だけは切らねえのな」


ノアは答えなかった。


ただ、もう一つのおにぎりにも手を伸ばす。




翌日の配信。


『非常食の人、今日は何食う?』

『米とか裏切りだろ』

『おにぎり!?』


コメントが流れる中、

ノアは淡々と口を開いた。


「非常食は、仕事」

「米は、生活」


『区別草』

『人間じゃん』


ノアは少しだけ視線を逸らす。


「……あと」

一瞬、言葉を選んでから続けた。


「このおにぎりは、別枠」


『???』

『どういうこと?』


「説明する気はない」


それだけ言って、

配信を切った。




トレンドには、相変わらずこう並ぶ。


【非常食の人】

【木屑飯】

【味不要】


だが、同時に。


【おにぎり別枠】

【誰が握ってるんだ】

【考察班出動】


ノアはそれを見て、ため息をついた。


「……余計なこと言った」


ニコは、少しだけ微笑む。


非常食の人。

効率厨。

炎上体質。


どんな肩書きが増えても。


ノアがちゃんと人間に戻る場所は、

たぶん――


ヒロの手で握られた、

あの塩加減の中にあった。


そして今日もまた。


非常食は売れ、

おにぎりは売れない。


世界は相変わらず、合理的じゃなかった。

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