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お誕生日、おめでとう

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

ニコはソファに正座したまま、何度も窓の外を見ていた。


――ノア君、まだ帰ってこない……。


胸元に隠していた小さな箱を、もう一度ぎゅっと抱きしめる。

手のひらは汗で湿り、膝がわずかに震えていた。

心臓の音が、やけに大きく聞こえる。


玄関の扉が開く音がして、ニコは思わず息を止めた。


「ただいまー」


ヒロと並んで、ノアが部屋に入ってくる。


その瞬間、胸の奥がきゅっと縮む。


「さ、食事にしましょう」


サクラの声に促され、テーブルに料理が並べられる。

全員が席に着く中、ニコだけが動けずにいた。


箸を持つ手が固まる。

先端が小刻みに震え、視線は料理から逃げていた。


「……大丈夫?」

サクラが気づいて、小声で声をかける。


「体調、悪いの?」


ニコは小さく首を振る。

一度、深く息を吸い込んでから、勇気を振り絞った。


「ノア君……」


声が、少しかすれる。


「お誕生日」

「おめでとう……」


震える手で、小さな箱を差し出す。


一瞬、部屋の空気が止まった。


全員の視線が、ニコと箱に集まる。


ノアは目を丸くしてから、

すぐに、柔らかく笑った。


「……ありがとう」


その一言で、ニコの胸の緊張が、すっとほどけた。

肩の力が抜け、呼吸が戻ってくる。


「誕生日だったのか……」

ヒロがぽつりと呟く。


「言ってなかったし」

ノアは肩をすくめて笑う。


「いくつになったんだ?」

ヒロが続ける。


「三百ちょい?」

ノアは冗談めかして答えた。


「お前、冗談にしても適当すぎるだろ」

ヒロが吹き出す。


その笑いにつられるように、

部屋の空気が一気に和らいだ。


さっきまで胸を締めつけていた緊張は消え、

ニコの中に、じんわりと温かさが広がっていく。


胸の奥で抱えていたプレゼントの重みは、

いつの間にか、確かな幸福感へと変わっていた。

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