ご褒美という名のチェキ撮影会
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
数日後。
改修された新衣装は、思っていた以上に早く仕上がった。
「リメイクだからな。元がある分、早い」
子高は当然のように言う。
――で。
なぜか俺たちは、店の片隅で簡易チェキ撮影会をやる流れになっていた。
「報酬だからな」
子高が胸を張る。
「新衣装でのチェキだ」
……嫌な予感しかしない。
「チェキって、一緒に撮るやつだよな?」
念のため確認すると、
「当然だ」
子高は即答した。
まずはニコ。
ニットのハイネックノースリーブは身体に沿いながらも柔らかく、
見た目ほど窮屈さは感じさせない。
その上から、本人希望の猫耳付きパーカーを羽織っている。
「……こ、これで大丈夫でしょうか……」
ニコが不安そうに言う。
「問題ない」
ノアが即座に断言した。
「じゃあ、俺はここだ」
子高がニコの隣に立つ。
距離が近い。
「ち、近くないですか……?」
ニコが小さく抗議するが、
「チェキは密着が基本だ」
子高は一切動じない。
パシャ。
排出されたチェキを、ニコは恐る恐る受け取った。
写真の中で、彼女は猫耳パーカーの袖をぎゅっと握り、
その隣で子高が満足そうに頷いている。
「……私、ちゃんと写ってます……」
その一言に、ニコは小さく息を吐いた。
それだけで、
この一連の騒動にも意味があった気がした。
「次だ」
子高の視線がノアに向く。
「なんで次がノアで当然みたいな顔してるんだよ」
思わず突っ込む。
「報酬だと言っただろう」
「ノアちゃん新衣装チェキは必須だ」
ノアは特に気にした様子もなく、子高の横に立った。
シックな布地が照明を受け、やけに様になっている。
「……なるほど」
ノアは短く呟く。
「このスリットがな!!」
子高が語り出す。
「近い! 語るな、撮れ!」
俺が止める。
パシャ。
チェキを確認した子高は、深く頷いた。
「完璧だ」
……満足そうすぎる。
「で、これで報酬は終わりだよな?」
念を押す。
「これが“格の違い”ってやつだ」
子高はチェキを眺めながら、実に満足げに言った。
「理解できなくてもいい」
……相変わらずムカつくが、
妙に納得してしまうのが腹立たしい。
完全に気持ちよくなっている顔だった。
俺はため息をつく。
「……ほんと、こんなんでよかったのか?」
だが、ニコが新しいパーカーの袖を握り、
ほんの少し笑っているのを見て、
それ以上は何も言えなかった。
この店は今日も、
普通じゃない形で、確実に前に進んでいる。
――多分、それでいいんだろう。




