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奴隷の作ったオムライスで、無敵のあーん作戦が始まった件

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

ついに試食会の日が来た。

俺とサクラが全力を注いだ新メニューを、常連やスタッフに披露する大事な場だ。


……だというのに。


子高は場違いにも、重たい椅子にふんぞり返り、腕を組んだままこちらを睨めつけていた。

まるで審査官気取りだ。


「お前、ここにいて何の意味があるんだよ……」


心臓がわずかに跳ねる。


テーブルには、オムライス、パンケーキ、カラフルなドリンクが並んでいる。

スタッフたちは歓声を上げ、写真を撮り合っていた。


(いや、騒ぐ前に味を見てくれ……)


俺はそう願いながら、オムライスを一口運んだ。


「……っ」


思わず息を呑む。


「うまい……。冗談抜きで激ウマだ」


初来店時とは比べものにならない。

下手な老舗レストランにも引けを取らない完成度だった。


(これなら、さすがに子高も――)


そう思った瞬間、視線を向けると、子高は相変わらず腕を組んだまま微動だにしていなかった。


胃の奥がひやりとする。


そのとき、ノアと目が合った。

ノアは何も言わず、俺の皿からオムライスを一掬いすると、そのまま子高の前に差し出した。


「子高。僕の分もやるから、口、開けて」


「え、は……?」


子高は目を丸くし、反射的にサクラをちらりと見た。

その指先には、仕込みの際についた細かな火傷の跡が残っている。


「……あーん?」


震える手で一口。


次の瞬間、表情が変わった。


「……うまっ」


もう一口、さらに一口。

気づけば、あっという間に完食していた。


「……まあまあだな」


そう言いながらも、子高の視線が一瞬だけ泳いだ。

それきり、再び俺たちと目を合わせようとはしなかった。


俺とサクラは顔を見合わせ、必死に笑いをこらえた。


ノアが小さく、呆れたように呟く。


「……非効率だな、まったく」


その後も試食会は滞りなく進み、すべてのメニューは好評を博した。


――俺とサクラの努力は、確かに報われたのだった。


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