※盗撮とキスマークは、犯罪です
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
失恋のショックで酒に溺れた翌朝。
「昼の仕事の時間まで寝る」
それだけ言い残し、ノアは部屋に引きこもった。
ドアが閉まり、静寂。
ヒロはリビングのテーブルでノートパソコンを開いている。
「……今日提出なんだよな」
大学のレポート画面と睨み合いながら、キーボードを叩く。
ピンポーン。
チャイムの音。
続けて――
ドンドンドン!!
「金髪いますかーーー!!」
ヒロの眉間に深い皺が寄る。
「うるせぇ!!」
慌ててサクラが玄関を開ける。
「ちょ、ちょっとイヴちゃん静かに……」
現れたのはイヴだった。
「金髪いますかー!!」
ヒロは画面から目を離さずに言う。
「静かにしろ。ノアは昼まで寝るらしいから大人しくしてろよ」
「えー」
数分後。
ヒロはレポートに集中していた。
静かだ。
(珍しいな……)
一方その頃。
イヴはそっとノアの部屋のドアを開けていた。
「……寝てる」
ベッドで深く眠るノア。
金髪が枕に広がり、無防備な寝顔。
イヴはスマホを構える。
カシャ。
カシャ。
連写。
口を押さえ、声を堪える。
(やば、尊……)
顔がどんどん赤くなる。
リビング。
ヒロはふと手を止める。
「……あれ?」
イヴの気配がない。
「まさか」
ノアの部屋の前へ。
ドアを開けると――
真っ赤な顔のイヴが立っていた。
「何してんだ!!」
「ひっ」
「早く部屋から出ろ!!」
「は、はい……」
イヴがあっさり従う。
ヒロはその素直さに違和感を覚える。
(……おかしくね?)
そのとき。
「……うるさい」
ベッドから声。
ノアが目を開ける。
ぼんやりとした視線。
「……シャワー浴びる」
ふらりと立ち上がり、バスルームへ。
リビング。
ヒロは腕を組み、イヴを睨む。
「で?」
「な、なにが?」
「何した」
「写真撮っただけですぅ」
「だけって顔じゃねえだろ」
イヴは目を泳がせる。
ガチャ。
シャワーを終えたノアが出てくる。
髪は濡れ、タオルを首にかけている。
無表情。
しかし目は怒っていた。
「……これ何」
そう言って、服の首元をぐっとはだけさせる。
白い肌に、くっきりとしたキスマーク。
しかも一つではない。
いくつも。
ヒロの動きが止まる。
「……は?」
イヴ、目を泳がせる。
「え、えっと……」
ノアはヒロも睨む。
「なんで…?」
「俺知らねえよ!?」
ヒロは必死に笑って誤魔化す。
「あー……酔ってたし? どっかでぶつけたとか?」
「歯型なんだけど」
「うん。それはぶつけじゃないな」
イヴは完全に視線を逸らしている。
ノアは深くため息をついた。
「……記憶ない」
ヒロは乾いた笑いを漏らす。
「お前、昨日飲みすぎたんだろ」
ノアはじとっと二人を見る。
そして一言。
「……後で話そう」
ヒロは思う。
(今日はレポートどころじゃねえな)
イヴは顔を真っ赤にしながら、
必死に平静を装っていた。




