表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/102

新しいメイドは、赤髪ツインテール

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

翌日。


ヒロが事務所に入った瞬間。


嫌な予感が現実になった。


強面オーナーが腕を組んで立っている。


その反対側。


なぜか背筋を伸ばして立つイヴ。


「……おはようございます」


「おうヒロ。求人の件だが決まりそうだぞ」


「……は?」


ヒロの視線がゆっくりイヴへ向く。


イヴは満面の笑みでダブルピース。


「いえーい」


「いえーいじゃない」


オーナーが履歴書を差し出す。


「ほれ」


受け取る。


開く。


──びっしり。


小さい文字で、隅から隅まで埋まっている。


前日のほぼ空欄はなんだったのか。


職歴、資格、特技、自己PR。

しかも無駄に熱量が高い。


「……努力はしたんだな」


「徹夜した」


ドヤ顔。


オーナーが低い声で言う。


「改善と努力は認めないとな」


ヒロ、観念。


「……採用で」


「よっしゃ!」


イヴ、ガッツポーズ。


その瞬間。


「制服は金髪と一緒がいい!」


「は?」


「あれはノアのサイズしかないんだよ」


「一緒がいい!」


「だからサイズが──」


「イヴちゃん?どうしたの?」


ニコが顔を出す。


ヒロはため息をつきながら説明する。


「採用した」


「えー本当? 嬉しいな。同じ制服で働けるね。お揃いだあ」


にこにこ。


イヴは一瞬固まる。


「え? あ、うん。嫌だけどしょうがないから着てあげる」


「素直になれ」


ヒロは更衣室を指差す。


「着替えてこい」


更衣室。


ニコが優しく言う。


「イヴちゃん、髪結んであげる」


「は? 可愛くなかったらすぐほどくから!」


「任せて」


数分後。


赤いインナーカラーが映えるツインテール。


スレンダーな体型が制服に綺麗に収まっている。


パンク要素は残しつつ、店の雰囲気にも合っている。


ヒロは思わず言った。


「……似合ってるよ」


「はあ? 別に褒められたって嬉しくないし」


「顔が嬉しいって言ってる」


「言ってない!」


営業が終わりかけた頃。


収録帰りのノアが店に入ってくる。


「お疲れー」


伸びをしながらカウンターを見る。


「あれ? 新しい人?」


イヴが勢いよく前に出る。


「ジャーン! 金髪見てみて!」


くるっと回る。


ノアは無言でヒロを見る。


「……」


「採用した」


「……そう」


一拍。


ノアはイヴを見る。


「似合ってる……」


やや棒読み。


イヴ、理解するまで一秒。


「きゃーーー!!」


店内に響く絶叫。


「うるさ」


ノアは耳を押さえる。


ニコが微笑む。


「イヴちゃんよかったね」


「うるさい!」


顔を真っ赤にしてカウンターに突っ伏すイヴ。


ノアはそれ以上何も言わず、


「ヒロ、事務所借りる」


静かに奥へ向かった。


その背中を。


制服姿のイヴが、ずっと目で追っていた。


ヒロは思う。


(店、静かになる日あるのか?)


答えは、たぶんない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ