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EP8 雇い主のはずが、奴隷に生活を牛耳られる話

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

 朝のチャイムで目が覚めた。


 布団に半分埋もれながら、隣を確認する。

 ……ノアがいる。近すぎる。金髪が視界の半分を占領していた。


 慌てて体を起こし、布団を跳ねのけ、玄関へ向かう。

 ドアを開けると、床にダンボールの山が待ち構えていた。


「……何だこれ」


 ノアは布団に潜ったまま、顔だけ出して微笑む。

「大きいものから開けるのが効率的です、ご主人様」


 一番大きな箱を抱え、床に置く。中身はふかふかの布団だった。

 敷いた瞬間、ノアは当然のように潜り込み、目を閉じる。


「……おい、何も言わずに潜るなよ」


 次々と箱を開ける。ドライヤー、高そうなPC、モニター。どれも新品で、俺の心臓が軽く沈む。


 最後の箱には銀色の非常食が入っていた。

 手に取っただけで、あの木屑みたいな味を思い出し、背筋が凍った。


 昼過ぎ、ようやくノアが目を覚ます。

 ふかふかの布団から顔を出すと、手際よくPCを設置し始める。

 電話を取り、短く用件を伝えたかと思うと、あっという間に作業を終えた。


 数十分後、玄関チャイムが鳴る。


 ドアを開けると、ヒロの友人・佐伯が酒を片手に立っていた。


「よ、ヒロ。聞いたぞ。2人で仲良くやってるらしいな」


「仲良くねぇわ!」


 佐伯は勝手知ったる様子で上がり込み、リビングに陣取る。

 ノアは顔を上げ、軽く会釈した。


「こんにちは、佐伯。今日もFPS?」


「おう、やろうぜ」


 二人は自然に並び、ゲームを起動する。


 ノアは俺には敬語で淡々と対応し、佐伯にはタメ口でやけに楽しそうだ。

 俺は缶ビールを開け、畳に座り込む。


 二人は画面に夢中。笑い声と銃声が部屋に響き渡る。

 俺だけが、少し離れた場所で黙って座っている。


(……雇い主、俺だよな)


 蚊帳の外。

 その言葉が妙にしっくりくる。

 自分がこの部屋でどこに属しているのか、しばらく考え込んでしまった。


 ゲームの操作音、缶ビールの開ける音、笑い声。

 全部が、俺を“観察者”にしている。

 参加したくても、入る隙間はない。


 でも、少しだけ羨ましかった。

 ノアの自然な楽しそうな姿。

 佐伯の無邪気なテンション。


 俺も、あの輪に入れたら――。


 考えると、逆に笑えてきた。

 いや、笑うしかない。


 缶ビールを手に、ため息をつく。

 「……俺だけ蚊帳の外かよ」


 それでも、このバカ騒ぎが止まらないことは確かだった。

 三人の時間は、まだまだ続きそうだ。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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作者:しけもく

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