一人のガーデン
誰もふれていない新品のガーデンをもらった
白塗りのフェンス
清潔な石だたみ
今だったらほおずりしても病気にならないのに
土足で踏んで
肥料をばらまいて
私が心をきめた瞬間 きっと劣化がはじまる
みずみずしい苗
植えられるのを待つが
拘束は死にまっしぐらなあなたがもったいない
でもせっかくもらったのだから
苗はせっかく生きているのだから
せっかく… せっかく…
いたたまれない気持ちがふくれあがっていく
覚悟をきめてガーデンを作り終えたけれど
絵になるかざり
いっそう若い草木
出来が良いからかなしくなってしまう
タイルをわざと汚し
結局もとどおりなおす
こんな徒労 ひとりだからできてしまう
優位になるのがこわい
思いどおりにできるのがこわい
しあわせの所有権を私にだけせおわせないで
銀行にあずけられたらなんて楽だろう
一人のガーデン
せめて時計は見ないでおく