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第8章 昭和から平成へ

平成元年は昭和63年とも重複している。昭和天皇の崩御は、日本のカリスマ的な神のような存在を失ったような感じだった。令和の天皇(浩宮様)と同級生にあたる和子は、生まれて数日後に平成の天皇の結婚式が行われていた。美智子妃殿下の洗練された美しさに国民みんなが祝福し、明るい未来を期待していた。翌年2月22日に令和の天皇が誕生した。天皇制など無関心な和子でも、美智子妃殿下の高邁な精神と【開かれた皇室】にメージチェンジさせた功績は大きいと尊敬していた。国民から圧倒的に人気があった。

天皇が【象徴】なる言葉で、教育の現場でも語られなくなっても日本の精神的のよりどころとして魂の一部に刷り込まれているような感じだった。昭和天皇が亡くなられた時、和子は東京にいて友人に無理やり連れていかれ、大喪の礼に参列させられた。日本人は農耕民族ということもあり、天皇が崩御された日から雨ばかりが降っていた。皇居で記帳しに行った日は晴れていた。可哀想に、たまたま大阪から遊びに来た男友達が京都の【生八つ橋】を届けに来てくれた時に、友人に捕まって「日本人なら、記帳ににいかなくっちゃ」と無理矢理連れて行かれていた。大きな旅行バックを持っていたので、不審者と思われて中身を出すよう警察官に言われた。中からはお土産の八つ橋が沢山出てきて、無罪放免となったのだが、その様子がNHKの報道番組でリフレインされて、親や友人たちから呆れられて、可愛そうだった。

記帳には日本全国から人が来ているらしく、あちこちで方言が聞こえて来る。想像以上の人で、記帳するまで長蛇の列に並んで、随分時間がかかった。その間も、天皇の死を嘆く人のパフォーマンスがあちこちであり、日本刀を振り回し割腹自殺をしようとしていた男性が警察に押しとどめられていたり。日頃、絶対に見ることの出来ない風景に、ビックリしていた。政治家たちも永田町のパレロワイヤルに集まって追悼しているらしく、この日は一段と警護も厳しかった。

平成に年号が決まったことは、銀座の大きなスクリーンの映像で知った。その日は理系男子のエリートたちと飲み会の予定だったので、六本木に飲みに行った。日頃、遊び慣れていない真面目なメンバーだったので、この歴史的な日をどうやって過ごしたら良いのかわからなかった。生まれて初めての年号が変わった日に、何かしら印象的なことをしたかった。新たな年号を迎えた時に一緒に過ごしていることを祝し、浴びるように飲み歩いた。朝方まで一緒に騒いで、何が可笑しいのか?何であれほど盛り上がったのか?わからないが、時代の変換期に皆が興奮していたことだけは確かだった。


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