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第50話 エピローグ

パリのジャパンエキスポの時に試行錯誤しながらノミネートした経験があったので、大阪・関西万博のノミネートもビビらずに書くことができた。パリの方は英語も要ったので、ニューヨークの広告会社のプロを使い、金額も随分かかった。それに比べて、文章以外は、カラフルの所長が創り上げてくれた。これは、やったことのある人しかわからないが、それはそれは緻密で大変な労力がいる。

しかも、ジャパンエキスポなるものは、あちこちの国で催されている見本市のようなものだが、大阪・関西万博は国と大阪府が主催の世界的なイベント。出さなければならない書類の多さ、セキュリティの厳しさ。そして、今までと違い、打ち合わせも質問もすべてZoomやメール。細かい質問があっても、聞いても、なかなか返事は来ないし伝わらない。

メンバーもスタッフやボランティアも合わせると40人ほどの個人情報を間違いなく登録しなければならない。メンバーにつくヘルパーさんも未定なところを埋めて、随時変更事項も何度もチェック。この関係者を無事に入館させて、楽器やメンバー全員を舞台に立たせる。そのために、所長は誰よりも早く現地に赴き、それぞれに手作りの案内カードを配布。音源もトラブル対策に用意してくれている。

7月27日㈰は、夏休みになってすぐの休日とあって朝から長蛇の列。9時に入館予約をしていても、会場にはステージが始まる10時に間に合うかどうか。それでもまだ9時の予約が取れたらいい。満員で10時とか11時しか取れない人もいる。そのため、本番1時間の後に、ショートバージョンを有志で歌うことにした。暑さで控室にいたメンバーも、熱中症にならずに済んで良かった。

さかさまよ(和子)は、暑さなど全然感じずに、むしろ風を感じて元気いっぱいだった。エキスポは20回ほど行った。大屋根リングがあるせいか、日中でも暑くはなかった。むしろ、不思議なくらいエネルギーが満ちて、元気満々。舞台も全力で歌いまくって幸せだった。まだまだ3時間くらいなら歌える。

ただ、親戚が来ていて、夏パスを持っていたので、結局夜遅くまでいた。朝の集合時間は8時だ。家にたどり着いたのは11時を過ぎていた。でも、全然疲れなかった。今までの舞台の中でも一番気持ちよく歌えた。音響もプロ。今まで野外のステージでは、いつもマイクに泣かされてきた。それが、こんなにもハーモニーが溶け合って、皆の声ものびのびして楽しそうだ。

東京から来たという女性は、「声が聞こえて、見に来て良かった。感動して泣きそうになった」と言ってくれた。ボイストレーニングをしてくれた岡本先生の隣に、車いすの高齢の女性がいて、感動して涙ぐんでいたので、YouTubeを教えてあげて、登録までしてくれたそう。先生も、思わずもらい泣き。体が不自由なのに炎天下の中、最後まで聴いていただいて、こちらこそ感激。

世界の人とスマートフォンで会話したり、一緒に踊ったり。特別に入れてもらえたり。知らない国が多くて検索してもらって、アフリカの国々のイメージが一新されたり。円安で海外旅行が高嶺の花になっているので、エキスポで世界旅行しているみたい。こんなことなら4月からパスを買って毎日のように行ったら良かった。一度行ったら毎日でも行きたくなった。

みんな元気で、笑顔で、親切で、ユニークで、退屈しなかった。行くためには同行してくれる人がいるから変えなかったけれど、夏パスは安かったので家族分出して行けるようにした。仲間にも勧めて、一緒に行ってもらったりと悪戦苦闘。

それでも、ドイツ館のカラオケに飛び入りで英ちゃんと出演。【上を向いて歩こう】と、カラフル天使のオリジナル曲【55年ぶりのこんにちは】を歌ってPRしてきた。吉本のカラオケは大人気で、百人近く並んでくじを引く。小さな声で「ツイてる」とつぶやきながらボールを掴むと、12番。トリが当たって、一緒にいたヘルパーさんが思わず驚嘆しすぎて涙。

その日は喉をやられていたのと、見えないけれど熱気で観衆が何百人もいるのがわかって、足が震えている。設置されている大きなモニターに顔が映し出されているらしい。しかも、皆うまい。さすがに、たった一人で舞台に立つのは心細い。カラフルな天使の皆と一緒だから、大きな舞台でも大丈夫だったのだと気づくのが遅かった。

でも、英ちゃんやキリリンの応援の声が聞こえる。思わず笑ってしまう。「やっぱり、仲間がいるのっていいなぁ」って感動する。後日、娘とエキスポに行った時、吉本のカラオケのステージを見て、「よく、あんなステージで歌えたね」と呆れられる。実は、あの時が、見たのも出たのもはじめて。知らなかったから、出ようと思った。

「知らぬが仏とはよく言ったものだ」と苦笑するしかない。本当に出られるとは思ってなかった。12番を引き当てた時に、キリリンが強運だと興奮していた。それから、事あるごとに「強運だから大丈夫」と言われるようになった。いやいや、「ツイてる」って言ったから当たっただけなんだってば。

だから、毎日、昼休みには、時間がなくてもラッキーパワーコールの歌を歌うようにしている。いいことをイメージして「ツイてる ツイてる ツイてる」って歌うために。「5年後はサウジアラビアに行くぞ」と叫ぶけど、誰も声を合わせてくれない。まあ、そんなものだ。

エキスポが開催される2年前に、「エキスポに出演するぞ」と叫んだ時も、メンバーの誰も反応しなかった。ノミネートして出演が決まってから、皆の目の色が変わったのを覚えている。妄想気味なので、メンバーは本気にしてくれない。

それでも、誰にも見えない遠くの虹を見せてあげたい。一緒に見たい。アホなことを言って、ボケ・ツッコミで心を開いて、聞いてもらいたい。運命を変えるパワーを持つ歌を。一緒に渡れば、どんな困難も乗り越えられる。叶いそうにないと思われる夢も、堂々と口に出して唱えよう。

心ウキウキ、ワクワクするような素敵な夢を抱くことができたなら、もう叶うのは間近だ。



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