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第43章 野狭窄から全盲に

和子の視力も、とうとう何も見えなくなって、大好きな文章も書けなくなってしまった。日本舞踊や舞台のプロデュースは、実質出来なくなってしまったのだ。光を失ったら、何も出来ない。口で言った文章をブログに出していたが、「誤字脱字がひどすぎる」と言われ、辞めてしまった。元々、そんなに有名でもないし、和子の活動が無くても、伝統芸能の世界の人が困るわけでもない。孤独感に苛まれ、ただ息をしているという感じ。やるべきことも、やりたいことも断念せざるを得ない現実。家に引きこもり、ぶくぶく体重は増え、不健康で心も病んでいた。今までやりたいことは充分やった。見たいものは他の人より見て来たつもりだ。体験だって、挫折も成功も、人一倍味わって来た。もう充分。このまま死んでもかまわない。いつ終わってもいい生き方をしていた筈だ。何もしないで、お金も無くて、孤独な日々。貧乏神が喜びそうな陰キャラで醜い容姿。このまま朽ちて行くしかないのだろうか?話をするのは、ヘルパーさんだけ。娘たちも、それぞれの道に羽ばたいて、親の力など、もはや必要としていないし、大切に育てた娘に介護などしてもらいたくない。未来の夢に重荷など担がせて飛び立たせるわけにはいかない。親は、誰でも子供が自立して幸せに生きて欲しいと願っているから。一緒にいると「親の面倒を見なさい」と言われ、したいことも諦めなければならない可哀想なことを今までもしてきたのだから。  

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