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第33章 波乱万丈なジャパンエキスポ

パリのジャパンエキスポにはオープン前から多くの人が集まっていた。和子たちは前日買った関係者の通しチケットを提示。スタッフ専用口から中に入った。2012年は、震災があった次の年で、閉塞的な日本を脱出して海外で突破口を見つけようとしている勢力的なアーティストや人々が日本中から集まっていた。坂本龍一やきゃりーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバー、アイドリングなど。その当時は名前も聞いたことがなかったのに、帰国後有名になって紅白にも出ていた。マスコミ全社も来ていたし、和子たちのステージに寄り添い協力してくれたのが備建インターナショナルの社長だったのはラッキーだった。来られる予定ではなかったようで、急遽舞台の責任者になったらしい。ワビサビステージの音響の担当をしてくれていた。若くて腰が低いので、皆アルバイトか何かだと思っていた。明子などは「舞台には靴で上がらないで下さい」と偉そうに注意までしていた。名刺をもらって驚いたのは言うまでもない。どうりでマスコミ各社のお偉方や、関係者が皆挨拶に来るはずだ。和子も名刺交換するように言われ、売り込んでもらえた。おかげで、NHKのワールドニュースに娘の藤娘が紹介され、朝食を食べながらテレビを見ていた主人がビックリしたそうだ。主催者や有名人ばかり集まるレセプションにも誘われて、その時名刺交換した方々がその後マスコミを賑わせていて、帰国してはじめてその幸運に気が付いた。

行ってみて初めてわかったことだが、ワビサビゾーンの舞台は和子たちだけの貸し切り状態だった。本当はお茶のセレモニーや周辺で出展している方々のPRの場として、設置したらしい。しかし、皆少人数で対応しているせいか?あるいは、予定していた方の都合が悪くなったのか?「できるだけ舞台をやってくれたら有り難い」と。時間も和子たちの都合で自由に使っていいとのこと。昼食以外は、お茶や日本舞踊、詩吟や歌舞伎舞なども取り入れて明子は様々な演目を、やりたいようにやることが出来た。その衣装替えの間を藤娘が繋ぐ。すると、見た方々が「次の舞台は何時からか?」と問い合わせが殺到。毎回超満員。ちょっと会場を歩いているだけでも写真をせがまれ前に進めない。外国人だけでなく、出展している方々も楽しみにして毎回見に来てくれる人も。司会をしてくれていた女の子も音楽の留学でパリに住んでいる日本人で、すっかり仲良くなって夕食を一緒にしたり、情報を貰ったりと、大変助かった。後で知ったけれど、和子の大好きだった漫画家の萩尾望都や竹宮恵子も会場にいたらしい。世界のこうしたイベントに参加する醍醐味は日本ではなかなか出会うことのできない大御所たちと、身近で会談できること。日本を世界にPRするために、わざわざ大金をはたいて参加するなんて情報や意欲や発想が違う逸人ばかりが揃っているから面白い。あの金環日食の日に何か奇跡の扉が開いて、私たちの夢を叶えてくれたのかも知れない。

パリでのジャパンエキスポが終わり、フリータイムになっても、明子は、舞台で出来なかった【おてもやん】を、どこかでやれないものかと思って、お面を持参していた。しかし、音源がない。ジャパンエキスポで和子が貸していたテープレコーダーを失くしてしまっていたからだ。音源は、どんな状況でも出来るよう、CDやテープで持って行っていた。なのに、自分がやると言い出した舞台を途中で逃げ出して、持っていたテープレコーダーをその辺に置いて盗まれたらしい。そもそも、「藤娘は千羽鶴が、もう無いので舞台はおしまいにしよう」と言ったのに、担当の男性に「もう一度舞台をします」と勝手に約束して、自分は【六段】をおどったところで、きゃりーぱみゅぱみゅのステージが始まったという情報が入っていなくなってしまったのだ。長女は呆れながら「集まってくれた方々に悪いから」と【藤娘】を踊り、一人でファンサービスをしてくれたり、明子がその辺に置きっぱなしにしている扇子や寄附金入れを片付けた。きゃりーぱみゅぱみゅのステージを観に行ったら、明子が一番前で舞台によじ登ろうとして注意されていた。きゃりーぱみゅぱみゅと共演を狙っていたらしい。恥ずかしいので、他人のフリをした。その時にテープレコーダーを盗まれたらしい。パリでは盗難は日常茶飯事。初日に、舞台で使う豪華な扇子を盗まれ踊れなくて苦労したのに。

【六段】の見せ場は2枚扇子の技なのに、金色の扇子が盗まれて柄の違う扇子でやらざるを得なかったので、見栄えが全然違ったのだ。高価な物なので、帰国したら、また祖母に叱られるのは間違いない。くれぐれも気を付けるよう言っていたのに。「テープレコーダーがなければ、路上パフォーマンスも困難だ」と言っても、諦めきれず小道具を持って行っていた。



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