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第1章 失明の宣告1985年

あれは26歳の夏だった。二階堂和子はいつものようにコンタクトレンズを作りに行って、医者に「視野が狭くなっているようなので、網膜色素変性症の恐れがあるので、詳しく検査をした方がいい」と言われた。「それはどんな病気なんですか?」と聞いたら、「今の医学では、わからないので難病扱いになっているのだけど、視野が徐々に欠けて来て、やがては見えなくなる病気なので、進行を遅らせるために遮光レンズを付けるなどして、気を付けるといい。」と説明を受けた。本人は、よくつまずいたり物にぶつかったりするのは、単にドジなだけだと思っていたのだが。まさか、失明するかも知れない深刻な病気だとは想像すらしなかった。コピーライターとして、仕事が面白くなっていたところだった。恋愛も遊びも充実していて、未来は光輝いていた頃だったので、寝耳に水という感じだった。それでも、すぐに見えなくなるわけでもないのだろうと楽観したり、同時に「いつ光を失うのか?」と絶望的になったり。不安と諦めが交互に暗澹たる闇を運んで来ていた。夜は特に見えにくく、車の運転は辞めた。雨の日などは対向車線を走っていても気付かなかったり、自転車が認識出来なくて、危うく事故を起こしそうになったからだ。

その頃、映画のプロデューサーをしている男友達が、「ニューヨークに行って、あの摩天楼を見たら人生が変わるよ」としきりに渡米を勧めるので、まだ見える時に行ってみようと決断。

いつ見えなくなるのかと恐れていたからこそ、今すぐ、いやできるうちに早くとせきたてられて行動することができた。何を優先させるべきか?いつシャットダウンされるかもわからないから、余計に今が愛おしくかけがえのないものだと感じられるようになった。


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