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第17章 迫りくる視野狭窄、失明の恐怖

あれはいつの頃だったろうか?まだ長女が幼稚園児だったような気がする。少しは見えていたので、2人の子供を連れて、あちこち行っていた。すると、ある日、友人の子供が視覚障害があったので、和子の目のことを心配してくれて「視野狭窄も障害者に認定されるようになったので、一度平野区の障害者センターに行ってみたら?」とアドバイスされた。障害者に認定されて何かメリットがあるのだろうか?ただ、皆から蔑まれ、障害者としてレッテルを貼られるだけではないのか?と、言い訳をしながら、実は結果を知るのが怖かった。事実を受けとめる自信もなかった。しかし、自転車の前と後ろに子供を乗せて走っていて、事故も多くなった。子供たちも、転ぶのが上手くになって、ケガなどしなくなったが、不安になり、障害者センターで何か良い情報があって、救済されるかも知れないと思い行ってみた。やはり、視野は随分欠けていて3級だと診断された。障害者手帳を給付されて、大阪市から市バスと地下鉄の無料パスが送られてきた。美術館や動物園、公営プールも介護人と2人分無料になった。そのせいで、行く所が増えて、忙しくなった。大阪市はお年寄りと障害者に手厚い。だから、老人が元気なのかも知れない。市営プールは老人の溜り場だし、バスで移動しているお年寄りも多い。ユニバーサルスタジオでも半額。タクシーの割引もある。障害者に認定されて良かったと感謝している。東京ディズニーランドに行ってもパスが替わりに並んでくれるので助かる。カラオケも割引がある。特典満載で、優待されているので守られているような優しい気持ちになれる。経済的に困っていても、心や体を健康にするには、お金がかからない。障害や年齢が過ぎるのは仕方ないが、家から一歩出る勇気をくれる。JRも、地下鉄も市バスも、嫌がらず介護してくれるから安心して出かけることが出来る。その当時は、介護ヘルパーは「老人介護だけでも手が回らないので、障害者はまだ使うことが出来ない」と断られた。障害年金について、区役所で聞いても「ご主人の収入が、あるので無理です」と適当なことを言われた。福祉や介護がまだまだ充実していなかったし、福祉課にいる人でさえ内容に精通している人は一人もいなかった。


そして、結婚すれば、当たり前に訪れる、子供たちへの絶対的な愛だけに支えられ、自分のことより家族のことを優先してきた。結婚したら、どんなキャリアも無意味。どんな才能も、やりたいことも二の次で、子供たちの未来のためだけに尽力。子育てに、これほど奮闘するとは自分でも想像すらしていなかった。周囲も、結婚とは一番縁遠い人だと思われていたし、子供嫌いだったので、これほど親バカになるなんて信じられなかった。子供のアトピーを治すために水やサプリや皮膚科学を勉強し、アメリカでも活躍しているドクターが家に泊まりに来るので医学にも詳しくなった。健康とは一番縁遠い生活をしてきていたので、子供のためと得た知識が和子の体調を整え、健康になったのは大きな副産物だ。

仕事は好きなので、依頼があれば寝る間もなく、コピーも書いたし、インテリアの【ロイド】もやっていたので、家の中は季節ごとショールームのように飾ってあった。【ロイド】は、ダスキンがやっていたパーティ形式の海外のお洒落なインテリアのカタログショッピングのようなもので、趣味と実益を兼ねてやっていた。



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