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公道レーサー  作者: 〆咲
3/4

第3話 乗せられてるだけ

この作品に登場する峠、人物は架空のものであり、

実在するものではありません。

実際の道路では交通ルールを守り、安全運転を心掛けて下さい。


※峠の名前は適当です。

16:30、瀬名峠下休憩所にて―


がらんとした駐車スペースに1台のクルマが停まっている。

辺りを照らす電灯があるわけでもないのだがこのクルマ、ユウのシルビアは妖しく光っていた。


そのシルビアのシートに2人の男が座っている。

運転席には自ら出したコースレコードに呆然とするユウ、助手席に俯いたまま全く動かないヤス。


1分半程沈黙が続いた後、ユウがゆっくりとドアを開けた。

ドアの開く音は決して小さくはなかったが、ヤスは気が付かないのか俯いたまま黙っている。


シルビアのシートから降りたユウはふらふらと覚束ない歩きで自動販売機に向かった。

電灯がないこの場所で唯一辺りを照らす自動販売機の光には沢山の蛾が集っていた。


ユウは気にも留めない様子でコーヒーを2缶買うと、また覚束ない歩き方でシルビアに戻っていった。


助手席に近づき、ユウがドアの窓を叩くとヤスは窓を開けた。


「落ち着きました?」


「…いや」


ヤスは受け取った缶コーヒーに指を立てて飲み口を開く。

缶の飲み口は心地よい音をたてて開いた。


口をつけて一口飲むとヤスが顔を顰めて言う。


「俺はブラックが好みなんだ」


「微糖しかないんですよ」


ユウにそう返されて言い返す言葉が無くなったヤスは文句を言いながらも飲んだ。


5分も経つと2人のコーヒーの缶は空になった。

ヤスが外に向かって缶を投げると、続いてユウも缶を投げ捨てた。


缶の転がる音がしなくなると、長い溜め息をついてヤスが言った。


「じゃあ、行くか」


「どこへ?」


「あの中古車屋だよ、このクルマはどこかおかしい」


ヤスがそう言うとユウは黙って頷き、アクセルを開けた。


――――――――――――――――――――――――


然程道が混んでいないためかすぐにユウが中古車屋を見つけた交差点へ着く。

赤信号につかまったユウは辺りを見回した。


だが、あの時はすぐに見つけられた中古車屋が一向に見当たらない。


「どこだった?」


「…もしかして…あれじゃ…?」


ユウが指差した方向には草木の生い茂る空き地があった。

1週間前には中古車屋があったとは全く思えない。


「…冗談だろ」


空き地の近くにシルビアを停めると2人はクルマから飛び出した。


「…つぶれたってことは無いよな?」


「1週間で全部移動するのは無理そうですよ…もしそうだとしても1週間で

草がこんなに育つわけないし」


2人はそのまま10秒立ち尽くすとヤスが頭を抱えてしゃがみこんだ。


「どうなってやがんだ?」


突如ユウがシルビアの方へ向かった。

しかし座ったのは運転席ではなく、助手席だった。


「どうした?」


ヤスが聞くとユウは少し溜めて言った。


「先輩が運転してみてください」



――――――――――――――――――――――――


「ホントにいいのか?お前の大事なクルマ…」


「いいですよ。是非お願いします」


深呼吸をして心を落ち着かせると、ヤスは1速に入れてアクセルを踏んだ。



少しホイールスピンしてシルビアが急発進した。

速度は徐々に上がり、120キロを超えて最初のコーナーへと突っ込んだ。


ハンドルをイン側に切りこみ、イン側へ流れるのを防ぐ為に

カウンターを当てながらコーナーを曲がっていく。


「(…っ…やべえっ…少しでもカウンターがキツいと外側に吹っ飛んじまう…

こいつ…こんなクルマを運転してたのか!?)」


少しシルビアに恐怖を覚えたヤスがカウンターを弱くした。

しかし弱すぎたのかアウト・イン・インでコーナーを抜けていった。


速度は70キロに落ちている。ヒルクライムという事もあるが、

ユウが走った時の速度は約100キロだった。


「(カウンターの調整が難しい…乗れてない…くそッ!)」


目を細め、ヤスはアクセルを全開まで開ける。


「(乗せられてるんだ…)」


第2コーナーの入り口に差し掛かり、ヤスはハンドルを切ろうとする。


「(…少しタイミングを遅めにするか?)」


故意的にヤスはハンドルをワンテンポ遅く切る。

しかし、シルビアはどんどんアウト側へ膨らんでいく。


「(やばい…!)」


ヤスが力の限りイン側にハンドルを切るが、リアタイヤが滑ってスピンした。


スピン直後はハンドルを見ていたヤスがユウの方を見て言った。


「このクルマはお前しか操れない」


「…」


ヤスが運転席から降りると続いてユウも助手席を降りた。


黙って席を入れ替えると、ユウが1速に入れて再度走り始めた。



――――――――――――――――――――――――


瀬名峠の頂上に着くと、ヤスはシルビアを降りて

置きっぱなしにしていたロードスターに乗った。


「どうするんですか?」


「俺がお前の後を追う。ついていけるか分からんけどな」


ヤスはそれらしくアクセルを踏んでエンジンをふかした。


「分かりました…」


ユウがアクセルを踏んで走り始めるとヤスもアクセルを踏み、後を追った。



「さて…後ろからじっくりと見せてもらうか」


ヤスのロードスターが110キロを超え、第1コーナーに差し掛かると

前に見えるユウのシルビアはリアを滑らせ、既にドリフト体制になっている。


「(俺も行くぜ!)」


アウトからインに切り込み、溝に落ちそうな程ギリギリの場所をドリフトで滑らせ、

コーナーの半分を過ぎた所でアクセルを徐々に開けて出口で体制を立て直し、再加速。


パワーの差もあってかロードスターからはユウのシルビアが少しずつ遠ざかっていく。


「(立ち上がりでついていけないのは想定内だ…突っ込みで差を詰める!)」


第2コーナーでロードスターがシルビアより断然速い突っ込みを見せた。


「(思ったよりフラフラしているな…動きが不安定だ)」


突っ込みで一気に近づいたシルビアの動きを見たヤスは心の中でそう呟いた。

ある程度動きを観察するとまた呟いた。


「(こいつ、俺と同じだ…乗れてない…)」


ヤスはこれ以上踏めないアクセルを更に踏むつもりで右足に力を入れた。


その後この2人によって発生させられるスキール音は夜中の1時まで続いた。

区切りが多い…

文章が幼稚だ…

これはひどい…

ただめんど(ry


次回は敵キャラ的なものを出すつもりです。


※ついでに1話目の「某峠」は名前が思いつかなかっただけです…

「瀬名峠」のつもりです。

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