4月15日④
木から身を投げ出し、俺の体は自由落下を開始する。
足はしっかり地面に向けて飛んだため、着地には失敗しないはずだ。
あぁ、怖いなぁとてもこわi
ストン
こんなこと考えているうちに地面についた。
え、たったこれだけ?こんなことが怖くて助けを求めたりしてたの?
俺は臆病だから、物事に対し極度に怖がってしまうことがよくあり、また、実際やってみると、大したことがないなってなることもしばしばだ、あの受験の時も…
いや、そんなことより
(は、恥ずかしぃー)
くそはずい、こんなことで俺は皆に応援されて、小学生とかにも、そうだが、あの女の子にもだ、もう俺はかっこよく映ってないだろう。
これも俺の悪い癖だ、言ってしまったことややってしまったことへの羞恥心が後になって襲ってくる。これは明言しないだけでみんなそうなのかもしれないが。
なんて考えていると、小学生たちが駆け寄ってきた。
「お兄さんかっこよかったよ!!」
「私ならあんなところから飛び降りれない!!」
気を使っているのか、はたまた本音か、小学生たちが飛び降りた俺を褒めてくれる、俺は苦い顔で「お、おう」ということしかできない。
「あとおにーさん、ボールも取ってくれたこともお礼しないとね!!」
「そうだ、ありがとー」
お、おおそうだな、それに関しては俺が100%カッコいいな、今回は、俺は胸を張って「おう!」と答えた。
「おねーさんもなんか言ったら?」
「……」
と、少し後ろ側で俺らの会話を聞いていたあの女の子を思い出させられる。
これは会話のチャンスと思う気持ち七割、お礼くらいしとこうという気持ち三割で、俺は彼女に話しかける。
「あ、あの、助け、来てもらって、ありがとう…ござした。」
そして盛大にどもった。
いや言い訳させてくれ、学校でも浪人生活でも、同年代の女性と話す機会なんてほぼなかったんだ。慣れてないんだよ。
「……」
それに対して彼女は無言でいた。
嫌われたのか、否
「…っ」
彼女も、どもっていたのだ。
平日の真昼間に公園にいるような人だ、そもそも人と話さないことも多いだろう、まだ四月だというのに色白のきれいな肌にうっすらと冷や汗をかいている。
「…あっ…」
「おねーさん何か言ったら?」
「……」
これはたぶん重度だ、俺の女性慣れしてないとかじゃない、人と話せないかもしれない。
「おねーさーん」
「おーい」
「……」
しかし、そんなこと関係なく小学生は容赦なく彼女に詰め寄る。当然彼女は応えられない。
しばしの静寂が生まれる。
耐えられず行動を起こしたのは女の子だった。
そう
俺の手を握って、逃げ出したのだ!!
「!!!??!!?!?」
俺が言葉にならない驚きの声をもらす。
小学生も何が起こったかわからず、その場でいまだに静寂を生み出し続けていた。
そこである小学生がそれを打ち破る。
「おれ知ってるよ、あれ、「かけおち」ってやつでしょ」
「バカ、エッチな言葉使わないで!死刑!!」
そんな会話が、背中から聞こえてきた。
駆け落ちはエッチではないでしょ…
……
大きめの公園のため、公園の端まで逃げたら、小学生たちから逃げることができた。
「ハァー」
ある程度走ったので疲れた、でもまぁその程度だ。
その点彼女は
「…ハァハァ…イテテ」
とてつもなく疲れていた、さっきまで冷や汗レベルだった汗が額一面にかかり、小鹿のような細い足がプルプルと震え、久しぶりに走ったのだろうか、地面と足が接着する衝撃で、足を痛めていた。
俺は満身創痍の彼女をベンチまで誘導し、俺を連れてきた理由を…
「居ました…」
「!!?」
急に普通にしゃべりだした。あんた、喋れるのか
「私がしゃべれる人、いました。」
そしてホラーで定番のようなことを言われた。