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買い物と吸血鬼 〜望み〜

 僕の彼女で同じ家庭科部の立花春子たちばなはるこ斎藤由梨さいとうゆりとの出来事があって少し経ち、僕こと十字架十太じゅうじかじゅうたと同じ家庭科部でバスケ部と兼部をしている夏樹なつきの4人は僕の家から20分ほどの場所にあるショッピングモールの2階のフードコートにいた。

 

 僕たち4人が着いた頃には、日曜日で時刻が12時という事もあり人で溢れかえっていた。

 その光景を見た僕は「すごい人だね。こんなに多いと4人で座る席がなさそうだね。」と言ったが

その言葉を聞くなり由梨が「いや。絶対空いてるから勝手に諦めないで」と腰に手を当てながら言った。

 その姿を見て、「さいですか」という言葉しか出てこなかった。

 「それじゃ、2手に分かれて探そうか。」と夏樹が提案して2グループに分かれる事になったのだが、

 そのグループ分けの際に由梨が男子と女子で分かれて探すといった強引な提案に僕と春子はお互いに驚いてしまった。

 提案した由梨曰く「仕方ないじゃない。十太と春子ちゃんの二人にするとイチャイチャして、席が見つからない可能性があるかもしれないでしょ。」と言われ、すごい偏見でこれは今どきはアウトなんじゃないかと思ってしまった。

 「それに、私は春子ちゃんとの初めてのお出かけだから一緒に居たいんだもん」と春子の腕を掴み由梨は照れながら言っていたが、まあ、由梨にとっては今日をすごい楽しみにしてたらしいということでしょうがないから今回だけは譲ってやることにした。

 

 由梨が言った事を聞いていた夏樹が、「その言い方だとさっき十太に言ってように由梨も春子ちゃんと話すことに夢中になりすぎて席を見つけられないんじゃないかと思うんだけど」と正論を言い

 それを聞いた由梨が「そ、そ、そんなことないもん。私は十太と違ってしっかり探すもん」と頬を膨らませながら睨みつけながら夏樹に向かって言っていた。

 「本当にそうかな?」と夏樹は疑うように由梨を見続け見られた由梨は顔をそらしてしまい

 結局、僕と由梨そして春子と夏樹の二つのグループになってしまった。

 グループが決まった瞬間、由梨は膝から崩れ落ち、両手を着いてまるでこの世の終わりのような雰囲気を醸し出していた。

 その姿を夏樹は見えないふりをして

 「それじゃ、席が見つかったらグループにメッセージを送って」と言い残して申し訳なさそうな顔をしている春子は夏樹の後を追い席を探しに行った。

 

 僕は落ち込んでいる由梨の背中に向かって、(無理やり立たせた)

 「まあ、そんなに落ち込むなよ。まだ世界は終わってないぞ」と励ましてみると、「うるさいなあ、今はそんな気分じゃんないんだよ」と子供のように不貞腐れてしまった。

 その姿をみて、「そんな事言うなら、一人で探してこようかな。」と聞こえるようにつぶやいた。

それでも無視を続ける由梨に向かって「もし由梨が席を探してないって知ったら、春子はきっと悲しむだろうなぁ。そしたら、家庭科部も辞めちゃうかもなぁ」と少し大袈裟っぽく言ってみた。

 それを聞いた由梨の肩が一瞬だけ震えたのを確認して、僕は歩こうとすると肩を掴まれ振り返ると

由梨が喜怒哀楽のどの文字にも当てはまらないような顔をしていた。

 「ちょっと、十太君。そんな事になったら、私はこの先何を目標に生きていけばいいの?」

 「い、いや。僕に言われても分からないよ。でも由梨がしっかり探せば、春子はさらに由梨の事を友達として好きになると思うよ。」と僕は言い、春子には申し訳なかったが、由梨のやる気を引き出すだから仕方ないと思い後で謝罪しようと誓った。

 「よっし。それじゃ、早く探して春子ちゃんの退部を阻止するぞ」と元気よく自由の女神像かのように拳を上にあげて由梨は言ったが、その光景を周りの人に見られ、ものすごく恥ずかしくなった。


 席を探している途中、横にいる由梨に「十太は羨ましいなぁ」と言われ、

 「何が羨ましいの?」

 「それは、あんな可愛い子が彼女だってことが羨ましいの」と僕に顔を向けて由梨が言ってきた。

 「そうかな。たまたま、家も近くて小さい頃から遊んだりしてたってことだけで、それがなかったら春子とは話してないだろうし、ましてや告白もされてないからね。要するに運がいいだけだよ。」

と僕は言った。

 「そういうもんなのかな。てか、十太からじゃなくて春子ちゃんから告白したの?」と由梨は口に手を当てながら大袈裟に驚きながら聞いてきたので、

 「あれ。言ってなかったけ?」と僕は言った。

 「初めて聞いたよ。春子ちゃんも頑張ったんだね」と由梨は手を組みながらうなずいていた。

 「そうなのかな。でも、告白された時、本当は断ろうかと思ってたんだよね。」と僕は何気なく言い  その言葉を聞いた由梨が「えーー!何よそれ。それは春子ちゃん知ってるの?」ともう席を探すどころではないらしく歩くのを止められ僕の顔を覗き込むようにして聞いてきた。

 「知ってるわけないじゃん。知ったら恐ろしい事が起きるよ。」となぜか背筋が寒くなった。

 「なんで、断ろうと思ったの?」と由梨は立て続け聞かれ、

 「付き合って、もし別れた後に今までの関係が崩れるのが怖かったから断ろうと思っただよね」と僕はその時の事を思い出しながら言った。

 「そっか、確かに別れた後ってお互いに気を使っちゃうからね。しかもそれが笑い話になるには相当な時間が必要だからね」と同情を含めた口調で由梨は言った。

 「それなのに、どうして付き合う事になったの?」と矢継ぎ早に聞いてきた。

 記者かよと心の中で突っ込んだ。

 「まあ、それは秘密かな」と僕は言った。

 本当は、断った後の立花家と十字架家の両家からすごい責められるのが嫌だったからとは言えない。

 「でも今は、春子ちゃんのことが好きなんでしょ。」

 「まあね。あの時に断らなくて良かったと思ってるよ」と僕は言って

由梨に「なんだよ。それ。」と言われ背中を叩かれた。

 すると、携帯が震え夏樹からメッセージが来ていた。

 「どうやら、席が見つかったらしいよ。」と僕は由梨に言い「それじゃ、どっちが先に夏樹たちを見つけられるか勝負だ」と勝手にレースを始められてしまった。

 「ちなみに、勝った方が春子ちゃんの隣の席ね。」と後出し気味に言われ、負ける事は許されないと思い僕も燃えてきた。


 中々、見つける事が出来ず、苦労していると夏樹からメッセージが届きどうやらハンバーガーショップの近くの席らしい。

 僕は振り返って今のお店を見るとハンバーガーショップの隣のお店だったため、すぐに二人を見つける事ができ、合流するとすでに由梨の姿があり春子の隣に座っていて僕の姿を見るなり

 「ごめんなさいね。十太君、先に合流しちゃって」と悪徳令嬢かのように口に手を当てながら笑われた。

 それを見て春子が「えっ。何?二人とも何してたの?」と僕と由梨の顔を交互に比べながら聞いてきた。

 「い、いや。特に何もしてないけど。なぁ由梨。」

 「そ、そうだよ。私たちはどっちが先に春子ちゃんたちと合流して、勝った方が春子ちゃんの隣に座るってレース以外になにもしてないよ」と由梨は言った。

 こいつは馬鹿なのかと思い、顔を隠したくなった。

 「何よ。そのレース、危ないじゃない。」と注意されることになってしまった。

 

 「それじゃ、全員集まったし由梨の奢りで選びに行こうぜ。」と夏樹は言って席を立った。

 「全員、行ったら誰かに座られちゃうかもしれないでしょ。誰か席にいないと」と由梨は言い

 「じゃあ、私が待つよ。私、決まってるから。」と春子はそれに答えた。

 「そうなの。春子ちゃんをひとりで待たすわけにもいかないから、十太も一緒に待ってて」と夏樹は言い、由梨がすごい目つきで睨んできた。

 夏樹と由梨がお店を選びに行っている間、僕と春子の二人きりになった。

 「春子は、どこのお店にするの?」と聞くと「あそこのハンバーガーだよ。」と言って

 席から近いハンバーガーショップを指さした。

 「奇遇だね。僕もそこにしようかと思ってたんだよね」

 「本当に?私に合わせた訳じゃなくて」

 「本当だよ。そういう春子こそ僕に合わせたんだろ」

 「違うわよ。久しぶりにハンバーガーが食べたいなと思ってただけだから」

 僕と春子は顔を合わせ笑いあった。


 少し間が空いて、「午前中は色んな事があったから、こうして二人っきりの時間は久しぶりのような気がするね。」と春子はつぶやいた。

 「まだ、2時間ぐらいしか経ってないけどそんな気がするね」と僕も答えた。

 「そういえば、さっきのレースはわざと負けたんでしょ。」と春子は聞いた。

 「そんな訳ないだろ。僕はいつだって本気だよ。」

 「相変わらず、十太は嘘をつくのが下手だね」と言って春子は携帯を操作して僕との個人メッセージ画面を見せてきた。

 「ほら、夏樹君が席を見つけたって送った後、どこの席か写真とメッセージで送ってるじゃん。そして既読が付いてるから十太が見てるのは分かってるからね。」

 「あれれ、本当だ。無意識に見てたのかもな」

 「とぼけないでよね。優しいのは十太の好きなところだけど、優しすぎるのもあまり良くないからね」と褒められてるのか怒られているのか分からなかった。


 「それより、来週の今日は春子の誕生日じゃん。どこか行きたいところある?」と僕は聞いた。

 「えっ。急にどうしたの?去年はそんな事きいてこなかったのに」自分を抱くように驚いていた。

 「いいじゃん。それより、どこに行きたいの?」

 「別に、どこでもいいけどね。でも、今すぐには決められないから考えとくよ。でもありがとう」と春子は恥ずかしそうにして言った。

 「まぁ、あんまり考えすぎないでね。次の日がテストなんだから」

 「テストの事は言わないでよ。折角、忘れてたんだから。」と春子は頬を膨らませながら顔を横に向けて言った。

 「ごめんごめん。でも、この一週間は勉強に付き合うから許してよ。」

 「本当に?」と春子は疑うように僕の目を見ながら聞かれ、

 「本当だよ。神に誓うよ」と僕も春子の目を見て言った。

 「じゃあ、約束」と言って小指を出してきたので、指切りをした。

 すると「あーー、やっぱり、私たちがいないところでイチャイチャしてる。見てよ夏樹君。二人とも指切りなんかしてるよ。」と由梨の声がしてみると番号札を持ちながら僕たちの方を交互に見ながら言っていた。

 いつの間に机の横に来ていた。由梨の後ろを見たが、夏樹はいなくどうやら由梨は夏樹がいると思っているらしかった。

 僕たちはすぐに指をほどいて、何もなかったかのようにした。


 「あれれ。由梨ちゃん、どうしたのかな?」の春子はぎこちない笑みを浮かべながら聞いた。

 「どうもこうもないでしょ。今、二人とも指切りしてたでしょ。」

 「あれ、そんな事してたっけ?きっと、由梨の気のせいだよ。なぁ春子。」

と僕は春子に助けを求めた。

 「そ、そうだよ。由梨ちゃんの前で指切りなんかするわけないじゃない。だって、今日は由梨ちゃんが私と仲良くなる日だよ。そんな大事な日に十太となんか指切りするわけないじゃない」と春子は無意識であるが僕を傷つけながら言った(笑)

 「そうかな。夏樹は見てたでしょ」とさっきまでの威勢が不安に変わりながらいつの間に由梨の後ろに来ていた夏樹に聞いた。

 「いや、俺はさっき戻ってきたところだから見てないよ。それより、十太と春子ちゃん、待っててくれてありがとうね」

 と夏樹は言って、由梨は不承不承ながら受け入れる事にしたらしい。

 

 由梨は、いつ呼ばれるか分からなかったため、僕にお金を渡してくれた。

 「なんか、由梨ちゃんに悪いことしたね」と席を離れ横にいた春子が言った。

 「確かに、でも春子は正直に言うのかなと思ってたよ」

 「あの場面は仕方ないでしょ。でも後で謝らないとだね」

 「そうだね。」と僕は頷いた。

 ハンバーガーショップは並んでいなかったためすぐに僕たちの番がきた。

 僕たちの姿に気づいた店員さんが「おい、新人。レジ頼むわ」と言い奥から若い男の人が帽子をかぶりながらやって来た。

 どうやら、彼も今日がバイトデビューらしいがどこかで見たような顔つきをしていた。

 「お待たせしました。ご注文はどうされますか」と聞かれ、

 その声を聞き僕は咄嗟に「おい、キング。なんでバイトなんかしてるんだ」と小声で言った。 





 その声を聞いた店員は顔を上げ、顔を確認するとやはりキングだった。

 











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