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第6話
Kawasaki ZEPHYR400。
詩織の愛車。
ネイキッドスタイルにまとめたシャシーが、日差しに照らされながら煌めいていた。
タバコを足で消した後、詩織はタックロールシートに跨った。
「さっさと行くぞ」
そう手招きしながら、バブルシールド付きのヘルメットを被る。
…ったく、ちゃんと吸い殻を捨てろ
ここはお前の庭じゃないんだから…って、聞いてないな。
まあいい。
ギリギリなんだから寄り道すんなよ?
まっすぐ学校に行けって言ってんのに、ちょくちょく変な道を通るから困るんだ。
送ってくれるだけマシだが。
ブォンッ
後部座席に跨り、アパートの裏筋を通る。
突き上げるようなエンジンの音。
雲ひとつない空。
今日はいい天気だ。
時々、詩織には乗せてもらってた。
いつもだったらバスを使うんだが、意外と遠くて。
学校に遅刻しそうな時は呼び出してる。
昔はそんなことなかったけど、最近はとくにさ?
朝が苦手なんだ…
目覚ましをセットしてても、思うように起きれなくて