3話目「目が悪くなるよ。」
「お、アンセルの嬢ちゃん。ちょっといいか?」
「ガーターおじさん。どうしたの。」
いつものようにパシリと雑用の二刀流をこなしているとき、近所のおじさんに声をかけられた。
「モニトを呼んできてくれんか。アイツまた畑をサボりおっての。」
「またですか。」
「またじゃよ。まったく、弱音ばかり吐きおって…」
モニトは今年で7歳になる子供である。
畑仕事、というか力仕事が苦手でよく逃げ出している。
「わかりました。探していますね。」
「頼んだよ〜」
ついでに私も、適度にサボるか。
"村の外は森に囲まれており、素人一人では帰って来ることは出来ない"
って村の人はよく言うけど、あれは半分嘘だ。
目印を付けた上で奥深くまで行かなければ、私でも無事に戻ってこれた。
まああれは、子供が勝手に森に行かないために言っているんだろう。
それはそれとして
モニトがこういう時に隠れる場所はいくつかあるが、この場所を知っているのは私だけだろう。
ここはいわゆる洞窟というやつであるが、大人は誰もここを知らない。
その上ここに入るには子供サイズのトンネルを通らなくてはいけないので、入ることも出来ない。
「おはようサボり魔。また読書?」
「わぁ!びっくりした…」
真っ暗な中、ろうそくの火を明かりに読書をしている少年、モニトに声をかけた。