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04.一人暮らし


静かに息を吐き出し、目の前の料理に目を落とした。

折角、注文をしたのだ。

食さねば…。


◇◇◇◇◇◇


いつにも増して白い顔をしたクレアが、食堂で料理を前に、何か考えこんでいた。

その瞳の色は、暗く深い気がする。


体調を崩したな。


ザインは、そう踏んでクレアへと歩み寄って行った。


「食わないのか」


クレアが顔を上げずとも、声の主は知れている。

緑髪の傭兵団長だ。


「考え事をしておりました」


いつもの如く素っ気無い声が返ってくる。

その中には、どこか本当に不機嫌が含まれているようであった。


「料理が冷めるぜ」

「えぇ…そうですね」

「食欲がねぇんだろ」

「そんなことはありません」


わずかに睨むような視線をザインに向ける。

そして、幾度目かの息をそっと吐いた。

その息が熱を帯びているのが、自分でよくわかる。


「具合が悪いんだろう」

「いいえ、そんなことはありません」

「じゃぁ、その顔色は何だ」

「顔色が悪いのも、顔つきが粗末なのも生まれつきです」

「何だ、そりゃぁ」


このような口答え…まるで子供だ。

それはクレア自身、よくわかっている。

具合が悪いことも、軽口を叩いているようでいてザインが心配をしてくれていることも。

わかっているから。

癪に障る。


一人で旅人として彷徨っているならば、体調管理くらい出来て当たり前である。

そして、口答えばかりして全く可愛げの無い、という女子のような考えをしている自分。

それら全てを束ねて、自分が癪に障る。


◇◇◇◇◇◇


足りてねぇ自分にイラつくことは、成長につながる…


ザインは、クレアの不機嫌がクレア自身に向いていることを感じ取り、

やれやれ、とため息をついた。


「食わなきゃ倒れるという思いがある分、マシだろ」


と、皮肉を交えたような表情でわずかに笑って見せた。

その一言が、クレアの波立っていた心を、ほんの少々落ち着かせる。

そうして、クレアもわずかに眉と口を歪めた。

笑ったつもりらしい。


◇◇◇◇◇◇


「医者にいけ、心配ならオレのところに医者がいるから、そいつのところで…」

「ありがとうございます。けれども…申し訳ありませんが遠慮しておきます」


その医者の腕を信用していないとか、意地を張っているとか、そう言うわけではなく、クレアはこれ以上、この男の手を煩わせたくなかった。


「それよりも」


多少、和らいだ目でザインを見上げた。


「この料理を消費するのを手伝って頂けませんか」


幾分、多すぎました、と呟くクレアに、ザインは、ああ、と頷いた。



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