表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋する青春研究部  作者: 午後の秋翔
4/13

四話 メタい、メタいよ!

続きです。


「はぁ…」


 先ほどまでの、地獄(じごく)のよう展開からここまでの会話は、あまりにもひどい内容だった上に、僕が押し負けてしまう流れであったので割愛(かつあい)する。最後の一手が凄く大きかったせいで、小野寺先輩までもが僕を説得し始めたところで、僕は静かに降参した。

 結局僕は始めての活動とやらで、円を描くように椅子を並べて、座っている。ここに来てまだ、この部活に入るかもしれない現実に向き合うことが出来ない僕。隣では、僕を(おとしい)れた張本人(ちょうほんにん)が、ウキウキした様子(ようす)で周りをきょろきょろ見ていた。

 なんたって今日は、こいつのせいでここまで不運に見舞われているのだから、ちょっとは僕を気遣う姿勢(しせい)を見せて欲しい。そう思いながら、ため息をつく。


「どうした、元気ないぞ?…まあ斗真の気持ちは分かるけど、ここそんなに悪いところじゃないと思うぜ?活動も楽って言ってたし、それに…」


 雅弘は、言いながら椎名先輩の方を見てにやにやしていた。こいつ絶対俺の気持ちなんか分かってないだろ。と思いながら、それでも雅弘を憎めないでいる僕に、心の中でもう一度ため息をついた。



「よし、準備完了。じゃあ、最初の活動始めるぞー!」


 小野寺先輩が最後に座って、最初の活動が始まった。小野寺先輩は手に何かを持っている。何あれ?マイクのおもちゃ?


「最初の活動は、自己紹介。と言っても、俺ら先輩達は皆の名前知ってるけど、改めて自己紹介をしてもらうよ。えーと、名前と、好きなもの、かな?一人一人考えてもらって発表してもらいます。まあ一応このマイクを使って発表するって形で良いよね?」


 小野寺先輩は、おもちゃのマイクを持って皆に見せる。マイクを持って発表する必要はあるのかと疑問に思ったが、流石に言わなかった。


「…………」


「誰から発表するの?優斗。」


「ああ、そっか。じゃあまずは、部長の俺から…」


 椎名先輩に言われて、小野寺先輩は慌てて立ち上がる。



 先輩達の自己紹介は、以前にされたのでこれも割愛する。

 小野寺優斗(おのでらゆうと)、好きな食べ物 肉。

 椎名千夏(しいなちなつ)、好きなもの 恋愛。

 戸村翼(とむらつばさ)、好きなもの 可愛い子。


 大体予想通りな先輩達の自己紹介は、答える数も少なかったのか、すぐに終わった。一つあるとしたら、戸村先輩が笑顔で可愛い子などと言うので、一年女子の一人が若干(じゃっかん)引いてるように見えた。



「じゃあ次は席の順番的に、(あかね)ちゃんだね。頑張って。」


「はい!」


 椎名先輩に言われて、さっき戸村先輩の発言に引いていた、一年女子が立ち上がる。そして一度周りを見回してから、一礼をして話し始めた。


鈴木茜(すずきあかね)です。好きな食べ物は、いちごです。これから、よろしくお願いします。」


 鈴木茜というその子もまた、運動部に入ってそうな見た目だった。ポニーテールで、少し目付きが悪く、凄く姿勢良い。美人と言うわけではないが、男子と仲良くなるような女子に見える。

つまり、僕の苦手なタイプに見えるのだ。完全に偏見(へんけん)ではあるが、こういう時、意外にも当たっている可能性(かのうせい)が高い。今考えてみるとこの部活、太陽系の人達が多い気がする。月系の、僕を除いて。まあ、青春研究部なんて名前の部活なんだから当たり前か。


「じゃあ次。静香(しずか)ちゃんだね。頑張って。」


 そんな、訳の分からないことを思っていると、もう一人の一年女子が立ち上がった。



 あれ、この子どっかで見たことあるな…


橋本静香(はしもとしずか)です。えーと、好きな事は、寝る事。よろしくおねがいします…」


 思い出した!入学式の時に寝てた子だ。入学式の時は、焦ってよく顔が見えなかったので、すぐには分からなかったが、小さい背と、ボブの髪型、そして寝る事が好きな人なんてこの人しかいない。良く見ると顔が小さくて、目がとろんとしていて、男子が好きそうな美人で可愛い子だった。


 

「じゃあ次は、三浦君だね。ファイト。」


 雅弘は、椎名先輩に言われて「はい!」と、勢いよく立ち上がる。次は僕の出番かと、好きなものについて考え始めようとしたとき、雅弘がとんでもない事を言い始めた。


三浦雅弘(みうらまさひろ)です。好きな友達は、隣に居る斗真君です。よろしくお願いします。」


 僕は、雅弘を思わず二度見をしてしまった。雅弘は、見られたのに気づいたのか、にやにやしている。さっきのような、悪気のない仕打ちと違って、今度は確実に分かっててやっているのが、顔を見て分かる。他の人達も、僕と同じように驚いていた。


「へー、そうなんだ。じゃあ雅弘くん、次の斗真君の好きな友達が気になるね。」


「はい!」


 戸村先輩の余計な一言に、雅弘は勢いよく返事をする。この二人、なんか似てるとこあるなと思いながら、僕は雅弘を(にら)みつける。雅弘は、にやにやしながら、目線を逸らした。


「じゃあ最後は、小林君。凄く楽しみ。ファイト。」


 あーもう、やれば良いんでしょ、やれば。

 僕は、ほとんどやけくそで自己紹介を始める。


小林斗真(こばやしとうま)です。好きな友達は…雅弘、くんです。よろしくお願いします。」


 その場の全員が、「おー」と言いながら、謎の拍手を送っている。何が「おー」だ。歓声(かんせい)を受けながら座った僕は、雅弘が隣でこちらを見てにやにやしているのに気づいたため、それを無視してやった。



「これで全員だね。じゃあ、今日は早いけどこれで終わりにし」


「ちょっと待って。」


またもや戸村先輩が、小野寺先輩の締めの話を遮る。あからさまに嫌な顔をしながら、今度はどうした?と、戸村先輩に問いかける。戸村先輩は、笑顔のままこんな提案をしてきた。


「どうせだったら、僕らのあだ名とか、呼び方を決めようよ。」


「呼び方はともかくとして、あだ名はすぐには決められないでしょ。」


 椎名先輩が、至極(しごく)当たり前の事を言う。


「確かに、じゃあ呼び方だけでも決めようよ。まず、僕ら先輩だけど、先輩って呼ぶのは辞めよう。せめて、名字で()()をつけるか、名前で()()をつけるかどっちかにしよう。」


「それは良いわね。」


「でしょ?後は、僕たちも君とかちゃんとか、あまりつけないようにしよう。おっけー?優斗。」


「わ、分かった。」



 戸村先輩はそれらを言いきった後、最後に僕を指差して言った。


「特に斗真は気をつけて。なんたって、めちゃめちゃ先輩って言ってるから。」


 あれ、そんなに僕、言ってたっけ。


「言ってるよ、ほらさっきだって僕の事、戸村先輩って言ってたじゃん。読む人にとっては、先輩は漢字だから読みづらいでしょ?ごちゃごちゃしないように気をつけてよ?」


 あれ?今戸村先ぱ…さん、僕の心の中と会話してなかった?て言うか、読む人って何?


「そうそう、その調子。これからも頑張ってね。」


 戸村さんの最後の独り言に、僕含め全員が不思議な目でみていた。さらに言うなら、僕は少しの恐怖も感じていた。



「ま、まあ良いや。じゃあ今日はおしまい、お疲れ様、皆。明日も一応、部活あるから是非来てね。」


 小野寺さんは、戸村さんとの付き合い方に手慣れているのか、勝手に部活を終わりにする。

 僕は、終わりと同時に、全身の疲労(ひろう)が一気に溢れてくるのが分かった。そして、初日からこんな様子だったら、これからどうなってしまうのだろうかと、途方もない不安に(おそ)われた。





出会い編が一応終わりました。


まだまだ拙い文章ですが、これからも頑張っていきますので、応援お願いします。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ