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恋する青春研究部  作者: 午後の秋翔
1/13

一話 因果応報ってこう言う時に使うんだ。

初投稿です。よろしくお願いします。


斗真(とうま)ー?もう8時だけど時間大丈夫なの?」


一階から母の声がした。


「んー、もーちょい……今何時?」


「だから、もう八時よ?」


「まだ、8時かー…ん?8時!?」

  

 驚きのあまり、さっきまで絶対に手放したくなかった布団を、ベッドの外に投げる。

やばい、完全に寝坊した。後三十分しか時間が無い。しかも今日は、大事な入学式当日。完全に終わった。嘘だと信じて、慌ててスマホを確認する。

 

「しっかり、8時だ。」

 

 完全に目が覚めた僕は、取りあえず階段を急いで降りて、一階にある洗面所で顔を洗い、歯を磨く。朝ごはんを食べてる時間は無いので、食器を洗っている母に愚痴る。

 

「何で、もっと早く起こさないの?」


「起こしたわよー。斗真が起きないのが悪いんでしょう?」

 

 もっと大きな声で起こしてくれよと、心の中で反論する。僕はもう一度階段を登って、自分の部屋にある高校の新しい制服に着替えた。鏡の前で自分の全身を確認する。

 

「よし!」

 

 そして昨日準備してあったバッグを持って、玄関に向かう。今何時かをもう一回確認するために、スマホを開く。まだ3分しかたって無い。これならまだ、ぎりぎり間に合うかもしれない。

 

「行ってきまーす。」

 


 僕の家は山の上の方にあって、行きなら30分で学校に付くはずなので、飛ばせばまだ間に合う距離だ。

僕は中学の頃に使っていた近道を使って、車があまり通らない坂道の道路を、ペダルを漕がずに下っていく。この場所は、町の景色を一望できるので、とてもお気に入りだった。


 しかも今日は雲一つない晴れだったので、景色がとても綺麗で気分がとても良い。そのまま僕は、のんきに鼻歌を歌いながら学校へ急ぐ。

 

「えーじゃあ次、小林は居な…」


「遅れましたー!」

 

 教室の後野のドアをがらっと開けて、僕は担任と思われる先生の出席確認の声を(さえぎ)る。

 

「お前、小林か?」


「はい、小林斗真です。遅れてすいませんでした。」


「分かった、席に座れ。」

 

 意外にもさらっと流された僕は、クラスの人達に見られながら席に向かう。中には中学の頃からの知り合いも、にやにやしながらこちらに「頭おかしいだろ?」とジェスチャーを送って来た。



 入学式はどこも変わらず、学校長挨拶や、新入生代表の宣誓(せんせい)、在校生代表挨拶など、退屈(たいくつ)なものだった。

 僕は、寝不足で今にも寝そうな体を起こして、あくびをかみ殺す。途中、隣の女子が眠気に負けて、首をかくんと前に倒して寝ていたのでそっとしておいたら、その子はそのまま退場ぎりぎりまで寝ていたので流石(さすが)に焦って、「ねえ」と起こしてあげた。



「えー、じゃあ明日からは通常授業だから教科書やノートを持ってくるように。」

 

 やる気の無さそうな担任の先生はそう言うと、号令をかけてそのまま教室を出る。と同時にクラスは、がやがやとうるさくなった。


「斗真ー。お前、登校初日から遅刻ってヤバイなw」

 

 僕が帰りの支度(したく)をしていると後ろから、さっきジェスチャーを送ってきた男子に声をかけられた。こいつの名前は三浦雅弘(みうらまさひろ)で、中学の頃からの友達だ。よくゲームや遊びに行ったりする仲で、昨日も一緒に深夜までゲームをしていた。なんなら今日遅刻したのはこいつのせいでもある。


「お前、よく遅刻しなかったな。てかお前が昨日、深夜まで僕とゲームしてたんだから、もうちょっと申し訳なさそうにしろよ。」


「いや、お前が俺に惨敗したから、ムキになって何度も対戦を申し込んできたんだろ?じゃなきゃ、12時には寝れてたぜ?」


うん。完全に僕のせいだ。でも、それを言うのは負けた気がするので、僕は無視して帰りの支度を続ける。会話に未練(みれん)を残さないタイプの雅弘は、依然としてにやにやしながら、僕の支度を待っている。


「そう言えば、昨日、負けた方が明日の部活動見学についていくって言う約束したよな?、俺が勝負に勝ったから、今日一緒に来てよ。」


「学生で賭け事は良くないぞ。」


 早く家に帰って寝たいので、反論する。


「斗真の提案(ていあん)だろ?」


「…………」

 

 完全に僕のせいだ。何をやっているんだ昨日の僕は。仕方ないので素直(すなお)に命令に(したが)う。


「どこ行きたいのさ。」


「おっ、やけに素直じゃん。んー、運動部は面倒臭そうだから、取りあえず文化部だな。」

 

 見るからに運動部そうな見た目をしている雅弘は、見た目と違って運動がとても苦手なのだ。だから僕は、昨日勝負に勝って運動部に行かせるつもりだった。なのに負けてしまったら意味がない。「はあ」と、ため息をついた。

 

「おっ、これは?」


 今僕が、ため息をついたのをまるで気にしてないかのように雅弘は、部活動見学の紙を僕に見せる。様々な部活がある中、雅弘が指を指したのは、文化部の一覧でも一番下にあった部活だった。


「何これ?青春(せいしゅん)研究部(けんきゅうぶ)?嫌だよ。絶対こんなの、男女が出会う為に作られた部活じゃん。僕、そう言うのあんまり興味ないから違うのに…」


 そこまで、言って嫌な予感に気づき雅弘を見る。(あん)(じょう)雅弘は、これでもかと言うほど、にやにやしていた。あー、やってしまった。完全に返り討ちにあった。


「じゃあ、今日はここ見学してみるかw」


 最悪。たださえ、女子と喋るのが苦手な僕が、こんな部活に見学しに行ったら、浮いてしまうに違いない。雅弘、お前は悪魔か?と思ったが、自分も同じような事をしようとしたので何も言えない。今日と言う日をきっかけに、もう金輪際(こんりんざい)賭け事をするのは辞めようと、心に誓った。



 


不定期更新です。これからよろしくお願いします。

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