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幕間9 愛の力




「……む?」


 牢屋に入れられ、暇を持て余しているエリックは、突然何かを感じ取ったかのように顔を上げた。


「……おーい、侍女長を呼んでくれ。話がある」


 丁度牢屋の外に、掃除係の侍女が一人、通りかかったので、男爵令息エリックは声をかける。


「……またいつもの『お嬢様に会わせてくれ』ですか? もう何度目ですか、いい加減にしなさい。そもそも、お嬢様は……お嬢様は……もう、長い間、行方不明で……グス、グス……お嬢様ぁ……」


 ティエラが行方不明になってから、屋敷全体はどんよりとした空気に包まれている。

 しくしく泣き始める侍女に、エリックは慌てて説明する。


「違う! 今度のは……いいからダニエラだっけ? アイツを呼んでこい、ティエラが危ない! ついでに公爵様も」


 このやり取りの時間すらももどかしく感じてしまう。

 説明はできないが、雷に打たれたかのように、エリックは確信した。――ティエラちゃんは今、危ないと。


「これが愛の力かっ!?」


 エリックは、牢屋の一角を見つめた。まるで、その視線の先にはティエラがいるように。

 彼は知らない。知るわけがない。だが見つめるその方向は――確かにティエラが今いるポルソだ。

 遠く離れたポルソの地の反乱を、彼がどうやって感じ取ったのかは、誰もわからない。本人の彼でさえ、わからない。

 

「待ってろ、今助けに行くからな」


 拳を握り、決意するエリック。

 まずは牢屋から出してもらおう。話はそれからだ。

 ……なんで長い間、男爵令息の彼が牢屋に入れられているのか、というツッコミはなしでお願いします。




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