取り乱しながらもディスることは忘れない
結論から言うと、謎は深まるばかり。
犯罪者達に尋ねても、有力な情報は得られなかった。
初耳で本当に知らなかった人、
一部しか知らされてなかった人、
間違った情報を吹き込まれていた人、
そもそも情報の出どころが別組織の人。
調べれば調べるほど、真実は霧の中へ。
それでも、一つ言える事がある。
「情報操作の痕跡があるわね」
私はポツリと呟く。
調査の過程で、おかしなところはいくつも発見した。
本来、情報や噂の動きは無秩序に見えて、実は何らかの法則性に沿っている。
逆に操作された情報は、不自然さを残している場合が多い。
例えどんなに巧妙に手を加えたとしても、だ。
注意深く見なければ見逃してしまうほど、些細な違和感。
……困った。
ただの家出が、とんでもない事になっている。
夜這いと勘違いしたあの夜、私の部屋に現れた男達。
あれも今回の事件と何か関係あるのか? それともただの偶然?
……どちらにしろ、私は巻き込まれた、それは間違いない。
一体誰が、なんのために情報を操作したのかは気になるけど、これ以上の深追いはしないほうがいいと感じた。
……よし、やめよう。
帰国して、お父様にごめんなさいと謝ろう。
でも、お父様がこれ以上私を警護する衛兵を増やしたらどうしよう? また行き遅れになるのは嫌だ。
……いっそ、カタストロフ殿下の婚約の話に乗ってみる? 発想の転換というヤツ。
善は急げと言うし、試しにファライに聞いてみた。
「殿下の婚約、受けようかな……と」
が、
「お気を確かに! ランツェアイル様ッ! あのクズと一生添い遂げるって考えただけで恐ろしいッ! 一時の気の迷いだと仰ってくださいッ!!!」
ひどい言われようである。
そして取り乱しながらもディスることは忘れてないという。
……さて、どうしたものか。
答え見つからないまま就寝し、次の日に目が覚めたら、窓の外はクーデターが起きていた。
同時更新の別作品は完結したので、投稿ペース安定するように頑張ります。




