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幕間8 大事なのは――




「ふあぁあ…………暇だな」


 大きなあくびの後に、ポツリとカタストロフはつぶやいた。

 王宮は今日も平和で、実に面白くない。

 また、数日後に弟の即位式が行われる予定で、招待される貴族と要人達だけでなく、周りの侍女や使用人達も慌ただしくなり、やることがない自分は余計に暇に感じてしまう。


 本来次期国王の即位式はよほどのことがない限り、第二王子の自分は招待され出席するはずだが、ひどく嫌われているせいか、出席の招待は来ていない。

 もっとも、王位も即位式も、軍事バカの第一王子も、平和路線の第三王子も、カタストロフは興味がない。

 大事なのは、退屈かどうか。面白いかどうか。

 

「……いつの間に暗殺も来なくなったな」


 一時期は毎日、自室周辺に暗殺者だらけの状態だったのに、それも見なくなった。

 結局、腰抜けの雇い主に雇われた奴らも腰抜けということか。

 ……常に命を狙われていれば、少しは退屈を紛らわせられるのにな。


「つまんねぇ」


 第三王子の弟は、停戦派だ。

 放っておけば、隣国との戦争は再び停戦状態になるだろう。


 別にそれはいいが、問題はそれで面白くなったりはしない。

 だが王位に関心がなく、早々に継承者レースから降りた自分に、今更口出しする権利はない。


 次期国王の弟は……まあ控えめに言っても面白いヤツじゃないな。

 品行方正という言葉を体現しているような奴だから、実に面白くない。

 おそらく弟も俺のこと、ポルソの性格悪い失敗作などと思っているだろう。


 当初は抵抗するだろうと踏んでいた第一王子も最近すっかりおとなしくなってしまった。


「……勝手に次々と面白いこと起きないかな」


 なんてつぶやきながら、窓の外に目を向けると――融通効かなそうな騎士が一人の村娘を連れて歩いてくるのが見えた。


「――面白いことになりそうな予感」


 にやりと、カタストロフは笑った。

 



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