幕間1 それぞれの思い
「……なあ、バルドロ」
「何だ? 僕は忙しい、手短に頼む」
「忙しいって、どうせフィレじゃん。俺の相談に付き合ってよ、最近、ティエラちゃんになかなか会えないんだけどさ……」
「フィレをバカにする者は、たとえ友達のお前でも僕は許さん」
「わりぃ、わりぃ。で、この前友達宣言出されたじゃん? んで、俺、ショック受けて、翌日ティエラちゃんの家に遊びに行ったんだけどさ、」
「一つ確認いいか?……翌日?」
「ああ、翌日。それが何か?」
「いや、いい。続けて」
「でさ、門のところで偉そうにしてる侍女長に『申し訳ございません。ですがお嬢様はあなたの面会を許可しておりません』なんて言われて、『そんなはずがない。ティエラちゃんに聞いてきて』って言ったら、『今朝お嬢様からの命令です。申し訳ございません』って一点張りで頑なに通してくれないんだ」
「……で?」
「その日は引き下がった。だが次の日でも門前払い」
「もういい。どうせ連日訪ねてるだろう」
「なんでわかった? さすが俺の友――」
「続けて」
「あ、ああ。俺はティエラちゃんは幽閉されてるんじゃないかと踏んでるんだが、お前どう思う?」
「待て、話が飛躍したぞ? どうしてそうなる?」
「だってそれ以外考えられないじゃねえか」
「……エリック、僕から一つ忠告。君は夢中になると周りが見えなくなる癖がある。それは別に悪いことではないが、たまには落ち着いて、」
「そんなことより、ティエラちゃんのことだけど――」
「突撃して、玉砕しろ」
「――わかった、ヒーローらしく、彼女を悪から救い出せってことね。ありがとう、バルドロ」
「どういう変換の仕方よ……」
「調査の結果出たよ、ダリアン……どうしたんだ? 心配そうな顔」
「あ、アルトス……この間のこと、思い出して……ティエラちゃんをつけ狙う有象無象が増えて、心配だわ……」
「そういや、ダリアンはエリックとずっと嫌悪状態だったな」、
「だって、あの(ピーー)の(ピーーーーーーーー)がティエラちゃんに近づいただけで、私、すぐにでもあの(ピーー)の(ピーーーーーーーー)を(ピーー)したくて、」
「ダ、ダリアン……?」
「……ん? あら? どうされました? そんな驚いたような顔」
「……覚えてないの?」
「……私、なにか変なこと言いました?」
「いや、いい。ダリアンはいつもかわいいな」
「ヘ? もうアルトスったら……」
「そんな頬を膨らませて抗議しているダリアンも可愛い。で、ポルソ第二王子に関する調査結果だが――」
今回は会話メインです。




