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三角 OR 四角関係……?




 ――何だこの面白い状況。

 カタストロフは口から漏れる笑みと笑い声を噛み殺すのに精一杯だった。


 最初はただの気まぐれ。

 退屈な宴会に呼ばれて、参加させられて、サボっていた。


 そこにやってきた女を退屈凌ぎ、暇潰しに使おうと思い声をかけたのが発端だった。


 別に誰でも良かった。

 楽しいひと時が過ごせれば、それで良かった。


 次に現れた身の程知らずの男が喧嘩を売ってきて、興味はすぐにそいつに移り変わっていた。


 この時、すでにその女はどうでも良くなっていた。

 ――彼女が再び、自分の興味を引くまでは。


 悲しいことに、俺はどうやら素晴らしい才能の持ち主で、恵まれている。

 軍事に関してバカみてぇにうまい第一王子でも、本気を出せば引けを取らないだろう。まあ、本気出すなんて面倒くさいからやらない。

 政治も弟には負けない。

 だが俺は性格が悪い。


 女の家を訪ねたのは少し興味を惹かれたからだ。

 興味がなくなれば、また捨てればいい。いつものことだ。


 侍女たちの制止には聞かず、庭を訪れると、あの女は友達の令嬢と一緒に談笑をしていた。

 そのあまりにも普通の光景を見て、少し落胆する。


 が、粉々に砕け散っていた物体に気づき、興味を惹かれる。

 ――原型をとどめていないそのものは、公爵令嬢が佇む庭にいてはあまりにも不可解な存在。


 更に声をかけたはいいが、どう見ても不慣れで初な反応に嗜虐心をくすぐられ、同時に好奇心が湧いた。

 もうちょっと様子見てみよう。


 ……まあ、彼女の友達が興奮しながら友達の良さを力説してきた時は少し面食らった。何だコイツ。


 そうしているうちに宴会のアイツがやってきて、面白いことになっている。

 ――そう、面白い。


 俺は面白いことと楽しいことが大好きだ。

 だから――


「そこまでだ、私の婚約者をこれ以上困らせないでほしい」


 ――参加しない訳には行かないだろう?





「説明してもらおうか」

「……はい、お父様。実はカクカクシカジカですわ」

「なるほど、全然わからん」


 あろうことか、あの後、やんちゃなお猿さんが対抗心剥き出し&自暴自棄……? になり、『いや、ティエラは俺の婚約者だ』なんてほざいてくれたおかげで、場はさらにヒートアップし、収拾がつかなくなっていった。


 極めつけはダリアンの参戦で、きれいな三角関係が出来上がっていた。……当事者の私抜きで。

 ……おかしいな、一番中心にいる当事者のはずなのに、一番蚊帳の外にいると感じるのはなぜでしょうか、ファルヴァライア様。


 結局、その後もなかなか決着つかないのを見て、今日はもう遅いということで、三人には屋敷の別棟に泊まっていただく事になっている。

 そして今、お父様からいきなり湧いた二人の婚約者について説明してほしいと呼び出しを喰らいましたわ。


 一番蚊帳の外にいる私にどう説明しろと?

 ……ありのまま言うしかありませんわ。

 そうお父様に説明したのですが――


「よし、整理しよう、つまり宴会で会ったことあるが、その時は名前も彼が誰なのかも知らない。ついさっきでようやく知ったポルソ第二王子が何故か自分の婚約者と公言している、と?」

「そうですわお父様」


「大して親しくもないのにやけに馴れ馴れしく接してくる男爵令息が身に覚えのない婚約者だといきなり言い出すと?」

「そうですわお父様」


「ダリアンちゃんが参戦してくると? 関係ないのに?」

「そうですわお父様」


「……頭が痛くなってきた」

「ワタクシもですわお父様」


 本当に痛そうに頭を抱えるお父様。

 無理もない。説明したところで理解できるとは思えない。だって当事者の私でさえ理解不能の状況だから、お父様が理解できるはずないわ。


「……で、結婚するのか?」

「お父様、我が国で重婚は犯罪ですわ」


 こめかみをグリグリともみほぐすお父様のミスを正す。まだ頭が痛いからうまく回らないのだろう。


「……そうだったな。婚約者が二人もいたな……流石に男爵の令息は心配になるが、となるとやはり第二王子?」

「……よくわからない殿方のところに嫁ぐのは……」


 幸せにはなりたい。でもどんな人もよくわからないのに嫁げというのは無理。


「ではどうする気だ? この状況……」

「そうですね、私は――」




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