2話
とにかく、"私"は、ごくごく一般的な日本人であるはずだ。それが、なぜ今こんなところにいるのか?
そんなのこっちが知りたい。何せ、私自身未だに状況がよくわかっていないのだ。何故ならゲームをやっていた所からぷっつりと記憶がないから。本当に、気がついたら私はフィリアの姿で彼女の部屋のベッドで、丁度この場所で、ぱっちりと目を開いたのだ。それだけなのだから、人に説明しろというほうが無理である。
まぁ、最近流行の異世界転生もののラノベのような状況だと思ってくれればいい。厳密には正しくないのかもしれないけれど、私がそう思って納得しているのだからそれはもうそうなのだ。そう理解するしかないのだ。
……っていうか、私はさっきからなんでこんな語り部口調で考えているのだろうか。何かの仕様なのか、それともゲーム補正なのか。
……そう、"ゲーム補正"。何故唐突にそんな単語が出てくるのか。それにはちゃんとした理由がある。
"私"が目覚め(この言い方が合っているのかは私が知りたい。今のところは神のみぞ知る)て、状況を把握し、混乱に陥って発狂する、と同時に、私は気づいてしまった。
_______この世界が、私の大好きな乙女ゲームの世界であることに。
______________この世界に、私の生涯の最推しがいるという事実に。