眼科検診
大雨で電車が止まって執筆時間が確保されたので投稿。学校には遅刻しました…
能力が発覚してから5年。
どうも皆さんお久しぶりですね、小学一年生になった織幡咲奈6歳です。
早速ですが現在私が直面している問題をご紹介するとしよう。
5年前に発覚した私の電子操作能力に付随する形で存在する電子を光として認識する力だが、年々強くなっていく能力に比例して光もまた強くなってきたのだ。
どの方向を向いても強い光が視界の中に入ってくる為、周りの物がよく見えなくなり、そのせいで転ぶことも何度かあった。
早急になんとかしたいのだが解決策が全く思い浮かばない。さてどうしたものか…。
「咲奈〜咲奈〜?起きてる〜?」
そのようなことを考えているうちに母から呼び出しがかかった。
「咲奈〜出掛けるよ〜」
「どこに?」
「眼科、最近眼の調子悪かったでしょ」
本日は土曜日、休みの日なので遠慮なく部屋でゴロゴロしていたところを唐突に母に呼ばれて部屋を出るといきなり眼科に行くと言われた。
「なんで分かったの?」
「子どもを持つと色々とわかる様になるのよ〜」
子どもを持ったからというよりもただ単に私の普段の様子を見ての判断だろう。
それにしても私の症状は眼科に行って解決するものなのだろうか?
行って見なければ分からないか。もしかしたら何か超自然的な現象を専門に扱う医師がいるのかもしれない。まあ9割9部9里無いだろうが。
「わかった、準備してくる」
「車でまってるわ〜」
母さんはそう言うと玄関の方へと歩いて行った。
準備に関しては服装を人に見られても大丈夫なように着替える程度なので直ぐに終わった。
玄関から外に出て母さんの車に乗り込むとすぐに車はタイヤを走らせた。
月代総合病院、そこは自宅から車で20分ほどの所にある県内有数の巨大病院である。
どうやら母さんの言っていた眼科とはここのことらしい。
「じゃあ行ってらっしゃい」
「母さんは来ないの?」
「急な用事が入っちゃってね〜」
「ふーん、そっか」
用事が入ったからと言って小学一年生を一人で病院に送り出すのはどうかと思うが。父と母は何故か急な用事が入ることが多いためそこは妥協することにした。
「はいコレお金と保険証ね」
「ありがとう、じゃあ行ってくる」
「あとで迎えに行くから〜」
そんな母さんの声を聴きながら私は車を降りて病院へと向かう。
中に入ると広い待合室があり、休日ということもあってか多くの人がいた。
奥にあるカウンターで受付を済ませて部屋にある椅子に座って呼ばれるのを待つ。
「52番 織幡 咲奈さん」
しばらくすると番号と名前を呼ばれたのでカウンターへと向かう。
「左側の奥から2番目の部屋へお進み下さい」
指定された部屋に入り、医師の前にある椅子に座る。
「初めまして、僕はこの病院で眼科を担当している石山と言います。よろしくね」
「織幡 咲奈です」
石山さんは丁寧な言葉を使う線の細い男性だ。軽い自己紹介を済ませた私達は早速診断に入った。
「今日はどんな御用ですか?」
「最近眼の調子が悪くなってきたんです」
「それは視力の低下という事であってますか?」
「違います。なんていうか…こう…眩しいんです」
「眩しい?では、一体どういう風になっているのか説明はできますか?」
「昔からなんだかボンヤリと視界の一部が光っているように感じていて、最近になってそれがどんどん強くなってきているんです」
ひどい時には全く見えないなんて事もあった。特に学校では大量の電気を使っているためにそれが顕著に現れる。
私の話を聞いた石山さんは何か考えるそぶりを見せた後、こう言った。
「織幡さん、貴女の症状は未知の病かもしれません。念の為に今から検査をしましょう」
「検査?」
「はい、と言っても今ここにあるものでは限度があるので簡単なものになりますが」
「分かりました」
どうやら石山さんは私の能力を新しい病気か何かと考えたらしい。学校の様子を見た限り能力は一般的には知られていないらしいからそう考えるのが妥当だろう。
「ではこちらの部屋で行いますのでご移動をお願いします」
そう言って私は奥の部屋に通された。
その後、通常の視力検査やよく分からない器具を使ったりと様々な検査をしていたが、結果は後日ということになり今日のところは終了という流れになった。