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神頼み  作者: ごまめ。
2/2

夏になるとなんかしたくなる。2




今年の夏はあまり暑くないのかもしれない。

クーラーをつけなくても、それなりに過ごせる日も多い。

何日間か前にエアコンを付け替えたもののあまり使っていない。窓とエアコンの隙間もまだ埋めていない。


窓からの風で充分いけるなー


暇をもて余していた『真夏(まな)』は、テレビの前に敷いているマットレスにうつ伏せに寝転がり肩と肘に重さを感じながらスマホゲームをしていた。


しかし、暇だ。

なんもしたいことないなー

小説買ったけど読む気分じゃないなー

あー

私は今だらけきっているのだー


だらけきっている真夏のスマホが振動した。

珍しくスマホに着信がきたのだ。

真夏は親指を画面上で滑らせ通話を始めた。


「うぃーす」


平日の夕方前に電話してきたこの男、今日は仕事が落ち着いているらしく、ゆっくり話せそうだ。

車で移動中に電話をしてくることが多いが今もどうやら車の中らしい。


この男がこんな話をした。

テレビでさまざまな国を紹介する番組を見たこと


その番組内でとある国の貧しい地域に住んでいる人の暮らしぶり、食事内容を知りなんだかやるせない気持ちになったこと。


真夏は通話が始まる前に昼食について不満に感じたことをメッセージしていた。

「ろくにご飯も食べれない人がいるんだから、さっきみたいなことゆっちゃだめだよー」と冗談まじりにメッセージ内容をいじられた真夏

「そうだねー」


それでさぁ、と男は続ける


仲良くしていた人が小さい頃に家庭事情が複雑で頻発に意地悪をされていたという話を初めて聞いて、どう接したらいいかわからなくなった、そんなことあるんだね、と


身近な人からそんな話を聞いたのは初めてなんだろなー、逆にすげぇな、と思いつつ

「色んな人がいるもんねー」


なんだかんだと1時間程、話し込み電話を切った。


真夏が連絡を取り合ってるのは3人しかいない。

1年ほど前に電話帳、SNSなどの

『人と繋がるツール』はすべて消した。


3ヶ月前までは ちゃこ とだけ連絡をとっていたが、『人と繋がりたい欲』がでてきたので

連絡をとる人を増やしたのだ。


ちゃこ以外からの連絡はフル無視をきめこんでいたが、こちらから連絡をしたら久しぶりだねーと普通に返事をくれた。


おそらくメンタル強者な2人と、ちゃこ。

ちゃこは真夏がヘドロのような感情に呑み込まれ

ていた時期に毎日毎日5時間程、真夏の電話に付き合ってくれた。


ちゃこは保育士さんだからこんなに色々受け止めてくれるのかなー。



しかし、他人を可哀想だ、なんだと貧しい人や一般的ではない境遇の人を哀れみ、俺はどう接したらいいかわからない、みたいなことを思う人ってナルシストだよなー

他人のそーゆーとこみて優越感感じて悦に入ってんじゃねぇのか?


結局、そーゆー人みて楽しんでんじゃないの?


真夏は先ほどの電話内容を頭の中で振り返っていた。


やっぱ私、ひねくれてんのかな?


貧しい地域の人になんか思うなら

井戸つくれば?

寄付すれば?


それができないなら、そんなに思ってないでしょ?


悲しい境遇の人を話のネタにしてんじゃねぇよ。

どう接したらいいかわからないとか、どうにもできないから考えなくていーよ。


マットレスにうつ伏せに寝転がりネットニュースを見たがら、あー、エアコンの隙間を埋めなきゃなー、粘土こねこねしなきゃなーと思いながらスマホゲームを始めた真夏。


明日は映画でも見に行ってみようかな?








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