第六話 いざ街へ
今回も楽しんで読んで下さると嬉しい限りです!
「街に行きます」
「ダメです」
「無理じゃろ」
「ダメですよぅ!?」
俺はエアがぶっぱなした高位魔術を玉藻に助けて貰い、その後、いくつか低級魔術を取得したのだが。
「敵の様子を知ると言うのもあるが…」
「それなら、私達がやりますよ!」
リアたちに任せたら街が多分滅ぶ。
「俺の着る服がねぇんだよ!」
「「「…………」」」
エアの高位魔術をもろに喰らって俺の服は、消し飛んでいた。
「どうすりゃいいんだよ!パンイチで居ろって言うのか!」
「でも、お金がありませんよ。魔王領では基本的に人間の使うお金は使用しないので」
…完全に忘れていた。
「では…換えの服を着れば良いのでは?」
それが出来たら苦労はしない。
「一応、前魔王様の服があるのですが…」
そのまま巨大なクローゼットに案内される。
「こちらです」
……いや、確かに服はあるのだが。
「デカすぎないか…」
「それはじゃな。前魔王様は巨人族だったんじゃ」
なるほど…だからか。しかし、着れなければ意味は無い。
「お気に召しませんか?」
「いや、普通に考えて無理だろ…」
恐らく、この服を着ると重みで潰れてしまうだろう。
「しかし…豪華なものばっかりだな」
服は黄金や、宝石などが散りばめられている。
「ええ、大変よく目立っていましたよ」
「その、服のせいでですね。勇者がワラワラ寄って来るんですよ」
危険じゃねーか。しかし、何かに使えそうだな。
「うん、いい事思い付いたぞ」
「なんですか?」
「リア、この服についている宝石を取ってくれ」
「分かりました」
しかし、どの宝石も高そうだ。
「何に使うんですか?」
「まあ、見てろって」
「「「?」」」
そのあと、エアのローブを借り魔王領にもっとも近い街のお店に行ったのだが…
「すみません…うちでは扱えません」
「はぁ!?」
「どれも、一級品で高価な物ばかりなんですが…」
「じゃあなんで…」
もしかして、宝石に呪いがかかっているとか…
「今不景気でして…」
「なるほど…」
不景気なら宝石などの高価なものは売れない。
「実は…勇者がここら辺一帯を荒らしているのんです」
「…は?」
「前魔王が倒されてからというもの勇者達がやれ仕事寄越せだの敬えだの言い出しまして…」
…何してんだ勇者は。
「そのせいで客足が遠のいてしまい…」
「大変ですね」
…なんだろう悲しくなってきた。
「すみませんお客さんこんな話をしてしまいまして…」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「また、いらっしゃって下さいね」
「ありがとうございます」
店のドアを開け外に出る。
「さて、どうするかな…」
宝石を売らないと服は手に入らない。
そのまま、三人が待っている所まで行く。
「おかえりなさい魔王様!」
「で、どうじゃった?」
「なんか勇者が荒らしていて売れなかったよ」
「では、私が初めに、服屋で暴れてそれを魔王様が取り追い払い、お礼として服を貰うというのは…」
「却下」
「えぇ!?」
なに、暴漢演じようとしてんだ。
「我が魔術で脅しましょうか!」
「お前も却下」
「!?」
「玉藻は何か意見はないか?」
ブツブツ文句を言う悪魔どもは置いておき、玉藻に尋ねてみる。
「では、魔王様。勇者を退治する、と言うのはどうじゃろう」
「え、今なんて言った?」
「だから勇者退治じゃ。
街の人々は勇者に困っているんじゃろ。だったら魔王様が勇者を退治して尊敬してもらえばいいじゃろが」
確かに言っていることはあっているのだか…
「でも、無理じゃね?」
「なんでじゃ?」
「だって前魔王倒したんだろ」
巨人族倒せて俺を倒せないわけない。
「いえ、前魔王は食べた料理に当たって亡くなったんですよ」
「……え?」
「いわゆる、食中毒と言うやつじゃ。調理係がきちんと加熱していなかったらしい」
「……」
どんだけ、腹デリケートなんだよ!
亡くなり方悲しすぎだろ!
「大丈夫ですよ!今は、きちんと私が出される前の料理を味見してから出しているので」
そういう問題では無い。て言うか味見してたのか!?
「で、どうするんじゃ?勇者を倒すのかまた別の方法を探すのか」
「そうだな…こうなったら勇者退治するか」
服のためだとはいえ困っている人々は頬って置けない。
「うむ、それでこそ我が魔王様じゃ」
「私も手伝います!」
「はい、きちんと地獄に葬りますので♡」
「程々にな!?」
俺は、なぜか服のために勇者退治をすることになってしまった。
いろいろ悩んだ結果こうなったてしまいました。また、読んで頂いありがとうございます!