序章
目を覚ますとそこに広がっていたのは、辺り周辺真っ暗だった 。
その代わり、目の前には女の子が仁王立ちしていた。俺を見下してるかのごとく。
「ふん!あんたね 。遺産の後継者の一人は・・・」
「は?」
いや、違った。目の前には、女の子と、そしてその後ろには机と椅子があった。しかも、その周辺は真っ暗なのにそこだけやけに明るかった。
しかし、なぜだ?後継者って・・・まず自分は、なぜこんなところにいる。まず、自分は何者でここに来た経緯すら分からなかった。
いや、正しく言えば、記憶がなくなってしまったと、言えばいいのだろうか。曖昧ではあるがこれが一番いい答えだろう。
「で、いったいなんだ?その後継者ってのは?」
「はあ、あんたね、自分が何だったのか覚えてないの?」
「ん、まあ」
「はあ~~」
ため息つかれた。しかも、かなり深めの。少し傷つくなあ。
「ねえ、あんた。名前は覚えてんの?」
心がどうとか考えているうちに質問される。
「いや、まず。自分が何者だったか。過去に何をしてここに来たいきさつがわからない人間にそんなこと聞くかね。普通」
「ハイハイ。あんたに期待した私がバカでした。ちなみにあんたの名前は、須藤一夜。覚えときなさい。それと、これ」
といわれ、受け取ったものは一本の刀だった。
「ハイ、確かに渡したわよ。まったく、賢者の遺産を後継者の一人がこんなやつでよかったのかしら・・・」
「その、賢者の遺産ってなんだよ?」
気になって聞く。記憶をなくしたものにとって、情報は必要不可欠立ったからだ。けど、辛気くさそうな顔から察し、めんどくさそうなので気乗りはしなかった。
「いや、それはあなた自信が実際に見て感じて、きいて、その手につかみとるものよ。なので・・・」
「へっ?」
女の子が指をならすと、自分の頭上には丸い円が、浮き出ていた。
「ここからは、何をするのもあなたの自由です。しかし、覚えていてください。後継者は他にもたくさんいること。そして、引かれ会うことも。さあ、自分の夢を実現させるために、いってらっしゃい。あなたの、進む道に栄光あれ!」
パチン!!
また、少女が指をならすと、男はいなくなった。
「あーあ。記憶をなくすなんてねー。ここに飛ばされてくる際、代償としてなにかを払う必要があったけど、彼が一番重症かしら。あーあ」
そういって、少女はなにもなかったかのように、椅子に座り、作業をはじめた。
「だから、送り出す仕事は嫌だったのよ。これだから、まさか、好きな人が記憶をなくして現れてくるなんて・・・・」
「うおおおおおおお!!!!」
目が覚めると、周囲は木々に囲まれていた。そして、目の前には刀と、美少女が・・・
「へっ?」
「一夜様!こんにちはです!」