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廊下の野次馬
噂話をしていた生徒たちが一斉に声の主に注目する。
「相変わらずバカでかい声」
ちょうど教室の前を歩いていたシヅキは思わずぼやいた。
そして、素早く辺りを見回す。
シヅキはそこで何かを発見して少しだけ目を見開いた。
「…あいつ、」
言いかけた言葉を飲み込んで教室に入り、キリノの近くに落ち着く。
何事もなかったかのようにシヅキはエリカに問いかけた。
「今日は何の騒ぎ?」
「シヅキ…。これ…」
エリカは言葉少なに写真を示す。
「…また手の込んだ嫌がらせを」
シヅキはいまいましそうに顔を歪めた。
そして相変わらずがなり続けているキリノを手で制した。
「座れ、キリノ。…皆に話があるんだ」