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悪意

「え…あれって…斎藤さん?」

「ウソ、やば…」


ふらつく足で寮へ戻ると、廊下ですれ違った生徒達が目を剥いた。

遠巻きに眺め、そそくさと立ち去っていく。


「なにあの泥まみれの子…」

「しーっ、噂の斎藤さんだよ。目を合わせたら呪われるって…!」


悪意の混じった囁き声に埋もれるように、カシャッ、と小さなシャッター音が聞こえた。


思わずそちらを振り向くと、一人カメラを構えるクラスメイトの姿が映る。


「ごめん…ごめん、ね、斎藤さん…」


霧島アサヒはしきりに謝りながら駆けていった。


「…」


エリカは泥だらけのスカートを掴んだ。

早く熱い湯船につかりたい。


「やば、こっち向いた」

「汚な…なにあれ」


悪意の混じった視線を抜け、やっと部屋にたどり着いた。


暗い部屋に「ただいま」と声をかけてみる。


シヅキがいるはずない。そんなことは、分かっていたのに。


「…」


静寂が耳に痛い。


「…そう、だよね」


そう呟いて、エリカは糸が切れたように意識を失った。

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