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花を飾る
「でも、なんで”花を飾ると呪われる ”なの?普通それだったら”サイトウさんが死んだら呪われる ”じゃないの?」
キリノは素朴な疑問を投げかけた。
「確かに」
リコがお菓子を頬張った頬を膨らませて一瞬止まる。
「そういえばそうだよね」
エリカも落ち着きを取り戻してうなずいた。
「シヅキ、その理由は知ってるの?」
「いじめてた子が死んだ数日後、先生が誤って花瓶を落として割ってしまったそうな」
「それで?」
「その日から花を飾るのをやめたら…生徒が死ななくなったらしい」
「シヅキ、詳しいね」
キリノがシヅキの肩を軽く小突いた。
「私のデータベースをなめるな」
「なめてない、なめてない」
キリノとエリカの声が重なった。
「シヅちゃん本当すごいよね、その情報どっから入ってくるの?」
「企業秘密」
シヅキはそれだけ呟いて立ち上がった。
「今日はこの辺にして、そろそろ帰るか」
その時ちょうど、エリカが見上げた校庭のスピーカーから校内放送が流れだした。
「完全下校の時間になりました。校舎内にいる生徒は、寮に帰ってください。完全下校の時間になりました。校舎内にいる生徒は…」