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豹変

「信じらんない…」


マキは苛立ちながら席を立った。

シズカは申し訳なさそうにうつむいている…と思いきや、開き直ってまっすぐ目を見つめてくる。


「気付きませんでした?私、そういう人間なんですよ」


今までと違う凍り付いた声に寒気を覚える。


「仕方ないじゃないですか。私は弱いから、強い人にくっついて、寄生して、」


生きていくしかないんですから。


困ったような、はにかんだ笑顔をシズカは見せる。


その素振りが重い言葉にそぐわなくて、彼女はおかしいんだ、と瞬間的にマキは感じ取った。


次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。


もうマキがシズカに話しかけることはなかった。


「疲れた…」


授業が終わり、寮にたどり着いたマキはため息をつく。


シズカの完璧でいて、不自然な笑顔を思い出すたび寒気が這い上がってくる。


「ん?どったの?」


ルームメイトの栗原コヨミが舌足らずな発音で話しかけてくる。


「いや…なんでもないけど」


そのまましばらくコヨミと喋っていると段々マキも落ち着いてきた。


「うん、コヨミ、あんたはいい奴だわ」


ついうっかり本音が出てしまう。


「なによぅ、急に!」


「いや、怖い人間もいるからさ、コヨミも気を付けなよってこと」


「ふぅん…?」


コヨミは首をかしげる。当然の反応だ。


「あっ、そだ、あたし出かけなきゃ」


「ぅん?いってらっしゃい」

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