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加害者
空いている席が増えた。
中川、妹尾、高杉、橋本。
そして、”斎藤”さん。
「次はあたしの番か…」
たとえ斎藤さんがいないとしても、その順番は変わらないのだろう。
だってこれは、”人為的に引き起こされた呪い”なのだから。
朝比奈マキはため息をつく。
消えることが怖いわけじゃない。
それで犯人が割り出せるのなら、消えるくらいどうってことはない。
「ねぇ、そういえば、あんたは何番目なの?」
前の席の青山シズカに話しかけた。シズカはびくっと振り向いて、えっ、と言う。
マキは舌打ちをした。何度話しても嫌いだ、こういうタイプの子。
清廉潔白そうな顔をして、裏で何を考えているかわかったもんじゃない。
「消される順番よ、それくらいわかるでしょ」
「あ…、えっと…」
シズカは言いにくそうに口ごもった。
「…六番目、かな…」
マキは指を折って数える。
三番目があたし。四番目はあのデブで、五番目、六番目は…。
「っ?!」
マキは思わず息を詰まらせた。
「ウソでしょ、あんた…」
「被害者じゃなくて、加害者の方じゃない…!」