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サイトウさんの呪い

「昔、この学院でサイトウさんって子が死んだらしいんだ」


シヅキの話はそんな前振りから始まった。


「凄いいじめられてたらしくってさ、あの、中庭の噴水あるじゃん?真冬にそこに沈められたりとか」


「それ初めて聞いた」


途中で口を出したのは高杉キリノ。リコと同じく、幼等部からの幼馴染だ。


「あたしが聞いたのは、三階から飛び降りさせられたって話だけど」


「私は給食横取りされたって聞いたよ!」


キリノは呆れ顔になって、お菓子を頬張るリコを見た。


「それはあんたの聞き間違いじゃない?」


「ま、色々されてたみたい」


シヅキが話を無理やり総括して進める。


そういう話が苦手なエリカはこころもち青ざめ、口をおさえて聞いていた。


「結局自殺しちゃったんだ、その子。まあ仕方ないよね」


キリノが感慨深げにうなずいた。


「お葬式が終わって、その子の机には花が飾られて、」


「それからなんだ」


「サイトウさんをいじめてた子が次々に、死んだんだって」


シヅキの声が教室の中で虚ろに響いた。


「しかもそれが酷い死に方だったらしい」


リコがお菓子をかじる音。


キリノがいじっていた髪の毛がさらりと手からこぼれ落ちた。


「…詳しくは知らないけどね」


エリカの顔を見て、シヅキは話をそこで打ち切った。

エリカは忘れかけていた呼吸をようやく再開した。


「いじめとかこの学院でもあったんだねー」


「まあどこにでもあるでしょ、そういうのは」


リコは急に真面目な顔になった。


「酷い世の中だ」


「幸せそうにお菓子かじりながら言う言葉じゃないから…。あ、それ一個ちょうだい」


キリノはリコに手を伸ばした。

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