2/62
アリサ
「知ってる?斎藤さんの机に花が飾られてたって…」
「うそ、それってアネモネ組の斎藤さん?」
「あ、それ私も聞いた。やばいよね、呪われるって」
「呪い?なにそれ」
「えっ、知らないの?」
廊下に出るともうその話でもちきりだった。
さすが女学院。噂話に目がない女子たちが集まっている。
噂話を広めるのは簡単。だけどその火種をもみ消すのは…容易ではない。
” サイトウさんの机に花を飾ると呪われる ”
その噂を広めた誰かも、それをちゃんと分かっていたのだろう。
アリサはそっと微笑んだ。
本当に呪われるというのなら…試してみればいい。
アネモネ組の前には、ちょっとした人だかりができていた。