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花言葉
「え…、それ、どういう事…?」
シヅキはあいまいにほほ笑んだ。
「ただの花言葉ってだけだ。縁起は悪いけど」
「そう…」
腑に落ちない様子でシヅキの顔を見つめていたエリカだったが、深く考えるのをやめたらしく、ぼそりとこうつぶやいた。
「花言葉って、もっときれいな意味のものばっかりだと思ってた…」
「花にだって、いろんな種類がある。悪いものが混じっていたって、おかしくはない」
シヅキは、人と同じように、と付け足す。
「十人十色…」
急に背後から声がしたので、エリカは仰天してのけぞった。
「斎藤さん、中川さん。二人とも遅いから、委員長が心配してたよ」
立っていたのはクラスメイトの園原だった。
「びっくりした…」
「驚かせて、ごめんね。…それで、何の話してたの?」
「秘密」
シヅキは意味ありげに口の前で人差し指を一本立てた。
「え?!教えてよ!」
楽しそうに歩いていく二人を追いながら、エリカはそよ風に揺れる白い花を思い出していた…。