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嘘
シヅキは案外すぐに見付かった。
「シヅキ!何してるの、こんなところで!…心配したんだから、もう…」
「ああ、ごめん」
何事もなかったかのようにシヅキは起き上がる。
エリカはその服に付いた草を払った。
校舎の裏山で寝転んでいたシヅキを見付けたのは、委員長の小林さんだった。
窓からシヅキを発見した小林さんは、真っ先にエリカに教えてくれたのだ。
「何してたの…。もう、本当に心配したんだから…」
安堵したせいか、うまく言葉が出てこない。
「シヅキ、どっか行っちゃったかと思った…」
エリカはシヅキの細い体を抱き締めた。
シヅキは一瞬ためらってから、エリカを抱き締める。
「ごめん」
「謝ったって、許さない」
「え、」
顔を上げたシヅキに、エリカは微笑みかけた。
「嘘だよ…許してあげる」