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幼馴染

「あれ…シヅキ、まだ来てないの?」


一限目の後の休み時間が終わりに近付いたというのに、シヅキの席はまだ空っぽだった。


「寝坊癖のあるシヅキとは言えども…確かに今日はちょっと遅いかも」


「シヅちゃん、いつも一限の始めくらいには来てるのにね…?」


昨日みっちり絞られたのだろう、リコは沈んだ顔でうなだれている。

いつも手にしているお菓子の袋も取り上げられてしまったのらしく、今日は持っていない。


「そういや昨日のシヅキ、何か変だったよね」


キリノは教科書を片付けながら、眉を寄せた。


「正直、ちょっと怖かったかも」


エリカの脳裏にシヅキの姿がよみがえる。


唇を歪めて笑った、あの表情。


「…あたし、聞いてくる!」


妙な胸騒ぎを覚えて、エリカは駆け出した。


「おう、…いってら」


キリノはしばらくあっけにとられたように走り去ったエリカを見ていたが、やがてリコに向き直る。


「あの子、前から思ってたけど、シヅキにべったりだね」


「うん…」


「幼馴染って、やっぱそういうもんかなー」


「うん…」


「まああたしも昨日の様子は気になるけど…って人の話を聞けよ、おい」


キリノはうなだれていたリコの頭をわしゃわしゃと撫でた。


「田邊に絞られたくらいで気に病むな、ほら、アメあげるから」


「ありがと…リノちゃん…」


リコは恐る恐る手を伸ばした。


「あたしらも幼馴染じゃん?愚痴くらい、聞いたげるからさ」


そう言ってキリノは歯を見せて笑った。


リコもそれにつられるように笑った。

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