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三日目
「…」
机に花瓶が置かれているのも、もう三日目ともなると見慣れてしまった。嫌な慣れだ。
エリカは、そっとこぶしを握り締める。
今日はいつも一緒に登校しているリコがいない。
リコはお菓子の件で謹慎中だった。
不安ではあったが、登校中は特に何もなく教室まで来ることができた。
一つため息をついて、エリカは一人花瓶を片付け始める。
「斎藤さん、手伝うよ」
「三宅さん…ありがとう」
親切なクラスメイトが手伝ってくれた。
机の上にこぼれていた水を拭き取って、花瓶を持ち上げた時エリカは違和感に気付く。
「あれ…?これ、いつもと違う花…?」
白い花なのは前の時と変わらない。けれど、エリカは確かに違う花だ、と思った。
「おはよ。…うわ、今日もか」
キリノが教室に入ってきた。顔をしかめる。
「毎朝こんなバカな事に時間裂いて、マメなんだか何なんだか」
「あのさ、キリノ」
エリカは花の種類がいつもと違わないか、と尋ねた。
「んー…?そんなによく見てなかったし…あたしには分かんないや…」
昨日までの花は気味が悪いので捨ててしまっていた。比べる事もできない。
「気のせい、かな」