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主人公×主人公

時間にして十数分走り続け、デカデカと聳え立っている門まで椎哉が辿りつくと、そこに見かけない少女が不思議そうに椎哉を見ていた。


手にはキャリーバッグを引き旅行にでも行く姿だ。それにしては駅が反対のはずだが、敷地内に入っていないのであれば特に問題がないと椎哉は判断してしまう。それに警戒ならばSPがしているはずで、このさえどうでもいい。


椎哉は少女を一瞥するだけで門に近づき、持ってきた一枚の紙を腕だけ出して柱に張り付けた。


「あ」


そのタイミングで張り付けた紙を見たキャリーバッグの少女から声があがる。


その声に、びくっ、と椎哉の体が反射的に跳ねた。


すでに計画の阻止に手まわしをされた第三の存在かと椎哉は思いもしたが敷地の外に待機させる必要はないし、そんな存在を用意するぐらいなら門の近くの草木にでも関係者を忍者のごとく配置しておくはずだ。


「その紙――」


と、一旦の警戒を解いたところでまた少女から声があがった。


「使用人募集って本当?」


少女は紙を指さし尋ねてくる。


椎哉の計画は始動しても、ものの数秒で阻止されてきた。それが、今回は第二段階へとコマを進めようとしていた。


少女の問いかけに椎哉は驚きのあまり声が出せず、コクリと頭を下げて頷き返事を返す。そして同時に思う。


これは運命なのかもしれない。


「もしかして――」


「もしかして――」


椎哉の手書きで作成された一枚の紙にはこう書かれていた。


『使用人募集

      年齢、性別不問

              条件 住み込み可能な方』


「「ラッキー?」」


二人の声が合わさりながらこの日、偶然にも計画を企む一人の少年と家を失くした一人の少女の利害が一致した。


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