第二話 欲望
グロいと思われる表現がありますのでお気を付けください。 BY鼎 莅
さぁ貴方の望みはなんですか?
何でも叶えて差し上げましょう。
それが私鼎 莅〈かなえ のぞむ〉の仕事ですから。
ぎぃぃぃ。
誰も立ち入らなさそうな道を進むと古い建物があります。
その店の名は叶屋。
そこのオーナーは莅。
名前の通り人の望みを叶えるもの。
今回は欲望が身を滅ぼした話を莅が話してくれますよ?
お客さまがくる間ね。
さてあまりお客さまがこない店ですから退屈しのぎに話をして差し上げます。
対価はいりませんよ?
さぁそこに腰掛けてください。
長い話になりますからね。
いつのことでしたかね?
かなりの大柄なお客さまでしたよ。
十年近く前のお客さまでお名前は白川 兼雄〈しらかわ かねお〉様と言いましたね。
裕福な家庭なのでしたが人の欲望とは果てしなく・・・。
彼はまだ足りないと満たされないと申しておられました。
いや・・お懐かしい。
あぁ。すいません。
お話の途中でしたね。
えぇ叶えて差し上げましたよ。
それが仕事ですから。
彼が満足するのを差し上げましたが彼のもちいるものでは足りなかったのです。
それでは叶える側・・ええ私側が満足いたしませんから。
彼は食われてしまわれたのですよ。
え?何にですかって?
あぁ。説明がまだでしたね?
私オーナーと名乗っておりますが実は形だけなのですよ。
私の主人が願いを叶えるのです。
主人が対価と見合った願いでなければ主人は満足いたしません。
ですから・・・主人に兼雄様は食われてしまれたのです。
無残でございました。
両足と左腕はもがれ、肩は骨がむき出しに。
しかし兼雄様の顔は満足そうでしたよ?
対価に見合った願いは叶えて差し上げたのですから。
貴方もお気を付けください。
人の欲望は自分自身も大事な人も傷つける諸刃の剣なのですから。
長話しにお付き合いしてくださり誠にありがとうございました。
また気がむきましたらお立寄りください。
叶えたいものがありましたらお尋ねください。
いつでもお待ちいたしておりますから。